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毛利探偵事務所がやばい 1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/18(木) 14 26 14.95 ID /dH22G3Y0 爆弾魔に占拠されてるっぽい 2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/18(木) 14 26 39.18 ID YnzE/eEbi ついに家から出なくても事件が・・・ 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/18(木) 14 26 48.89 ID jGHjqd5+0 さすが死神wwwパネェwwwwww 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/18(木) 14 26 58.50 ID JpTD0Vzy0 1はなんで知ってるの?ガセ? 5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/18(木) 14 27 12.59 ID /dH22G3Y0 4警官隊。外で待機してる 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/18(木) 14 27 33.70 ID Va/HVLwK0 5仕事しろwww突入マダー? 7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/18(木) 14 28 14.20 ID /dH22G3Y0 6待機命令中。 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/18(木) 14 28 17.08 ID Y2YWpJXn0 中には当然コナン君や都大会優勝空手娘もいるんだよな?犯人詰んでねwww 9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/18(木) 14 28 34.88 ID /dH22G3Y0 中で「突入しろぉ!!」って言ってるけど行くべき? 10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/18(木) 14 28 49.83 ID I2r/p+VN0 9行っとけwwwwww 11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/18(木) 14 28 49.67 ID /dH22G3Y0 おk行ってくる。 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/18(木) 14 28 53.26 ID z9L8MzqQ0 その後 1の姿を見たものはいない・・・ 13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/18(木) 14 29 03.93 ID DFfAg7bP0 犯人も馬鹿だよな。自ら地獄に行ったようなもん 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/18(木) 14 29 05.34 ID /dH22G3Y0 jkのパンチラ拝めた。役得 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/18(木) 14 29 13.54 ID F5CpXWOW0 1キター!jkって毛利蘭? 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/18(木) 14 29 13.90 ID /dH22G3Y0 なんか知らん子。とりあえずペッタンコだった
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ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 コンプリート Blu-ray BOX 初回生産限定 発売日:1月30日 ●原作・西義之先生描き下ろし 特製デジトレイ ●キャラクターデザイン・河野紘一郎描き下ろし 三方背ケース ●オリジナルドラマCD 「風邪を引いた日は。」 ●特製ブックレット(24ページ) 西義之先生ロングインタビューに加えて、キャラクター・美術設定もたっぷり収録! ●イベント「ムヒョとロージーの大魔法律祭」 チケット優先販売申込券 ここを編集 2018年8月放送開始。プライムビデオが配信開始。続編にムヒョとロージーの魔法律相談事務所 (第2期)がある。 https //mahouritsu.com/ 監督 近藤信宏 原作 西義之 シリーズ構成 鈴木やすゆき キャラクターデザイン 河野紘一郎 総作画監督 只野和子、松下浩美 プロップデザイン アクション・エフェクト作画監督 高瀬健一 美術監督 田尻健一 美術設定・美術ボード 真喜屋実義、田尻健一 色彩設計 黒目綾子 撮影監督 川瀬輝之 特殊効果 小川猛 2Dワークスデザイン 秋庭映美 編集 小守真由美 音響監督 山本浩司 音響効果 中島勝大、櫻井陽子 録音調整 武藤雅人 録音助手 安田舞 音楽 川崎龍 アイキャッチ・サブタイトルデザイン きむらひでふみ アニメーション制作 スタジオディーン 制作協力 ブリッジ シナリオ 鈴木やすゆき 絵コンテ 近藤信宏 河本昇悟 鈴木龍太郎 殿勝秀樹 もりたけし 奥野浩行 誌村宏明 横内一樹 演出 三好正人 大塚隆寛 小野田雄亮 関田修 加藤峻一 橋本直人 福元しんいち 濱田将太 粟井重紀 横内一樹 作画監督 只野和子 松下浩美 高瀬健一 内藤嘉人 袴田裕二 簾畑由実 吉田肇 山口光紀 平良哲朗 高橋恒星 徳倉栄一 Kim Bong Duk Ju Hong Suk 江森真理子 柳瀬譲二 松下清志 柴田ユウジ 糸島雅彦 菅原浩喜 相原理沙 漢人寛子 宇都木勇 中山初絵 青木真理子 細山正樹 山石まい 神谷美也子 吉川太照 角谷知美 プライムビデオ:ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 1. リエとタエコ 主演:村瀬歩, 林勇, 神谷浩史 再生時間 24 分 公開日 2018年8月3日 ■関連タイトル ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 コンプリート Blu-ray BOX 初回生産限定 TVアニメ『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』オリジナルサウンドトラック ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 1 魔属魔具師編 JUMP j BOOKS ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 魔法律家たちの休日 OPテーマ GIFTED EDテーマ ホトハシル 原作コミック ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 1 ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 文庫版 コミック 全10巻完結セット Kindleまとめ買い ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Blu-ray 魔女見習いをさがして Blu-ray「どうにかなる日々」Blu-ray Happy-Go-Lucky Edition 初回限定生産 Blu-rayDisc付き 『ラブライブ! スーパースター!!』「始まりは君の空」【みんなで叶える物語盤】 BEM~BECOME HUMAN~豪華版Blu-ray Blu-ray 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 10th Anniversary Compact Collection Blu-ray ぐらぶるっ! Blu-ray 映画クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者 Blu-ray CHRONO CROSS 20th Anniversary Live Tour 2019 RADICAL DREAMERS Yasunori Mitsuda Millennial Fair FINAL at NAKANO SUNPLAZA 2020 ゴブリンスレイヤー Blu-ray BOX 初回生産限定 グリザイア ファントムトリガー THE ANIMATION 03[Blu-ray] 特装版 ラブライブ! サンシャイン!! Saint Snow 1st GIG 〜Welcome to Dazzling White Town〜 Blu-ray Memorial BOX ゾンビランドサガ Blu-ray BOX 初回生産限定盤 Blu-ray 思い、思われ、ふり、ふられ 完全生産限定版 Blu-ray Fate/Grand Carnival 1st Season 完全生産限定版 Blu-ray Fate/Grand Carnival 2nd Season 完全生産限定版 Blu-ray ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかIII OVA Blu-ray 映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日 BD特装版 Blu-ray アズールレーン 三笠大先輩と学ぶ世界の艦船 ぶるーれい Blu-ray 水瀬いのり Inori Minase 5th ANNIVERSARY LIVE Starry Wishes かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ 22 OVA同梱版 呪術廻戦 公式ファンブック よつばと! 15 監修 庵野秀明・樋口真嗣など 夢のかけら 東宝特撮映画篇 パラレルパラダイス 13 特装版 アイドルマスター ミリオンライブ! Blooming Clover 9 オリジナルCD付き限定版 美樹本晴彦マクロス画集 軌 わだち― 夜ノみつき 10th EUSHULLY WORKS しらこ画集 ILLUSTRATION MAKING VISUAL BOOK カズアキ画集 Kazuaki game artworks ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~ 公式ビジュアルコレクション ぼくたちは勉強ができない 第21巻 音声ドラマ ミニ画集付き同梱版 あいきょう 荻pote作品集 ヒョーゴノスケ流 イラストの描き方 TVアニメ『くまクマ熊ベアー』オフィシャルファンブック 押井守原作・総監督 西村純二監督作品 『ぶらどらぶ』 解体新書公式コンプリートガイド OCTOPATH TRAVELER Design Works THE ART OF OCTOPATH 2016-2020 おそ松さん 3rd season SPECIAL BOOK 描きたい!!を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方 YMO1978-2043 「小冊子・YMO全トラックリスト2021 Amazon限定表紙版」付き To LOVEる -とらぶる- ダークネス FIGURE PHOTOGRAPHY COLLECTION 斉藤朱夏 CALENDAR 2021.4-2022.3 ラブライブ! サンシャイン!! Aqours DOME TOUR COMIC ILLUSTRATION BOOK ラブライブ! サンシャイン!! Aqours COMIC ILLUSTRATION BOOK 2020 Winter イジらないで、長瀞さん 10 特装版 「はたらく細胞」公式アニメ完全ガイド リスアニ! Vol.43.2「アイドルマスター」音楽大全 永久保存版VII アイドルマスター シャイニーカラーズ 3 CD付き特装版 ウルトラマンマックス 15年目の証言録 ウルトラマンZ特写写真集 じじぃ 人生は深いな 冴えない彼女の育てかた 深崎暮人画集 上 Flat. ぷよぷよ アートワークコレクション 古谷静佳1st写真集 re START THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER COLLABORATION! 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Ready For Star 2巻 缶バッジ付 Switch エーペックスレジェンズ チャンピオンエディション New ポケモンスナップ -Switch 【PS4】BIOHAZARD VILLAGE PLAMAX 聖戦士ダンバイン サーバイン ノンスケール PS製 組み立て式プラスチックモデル スーパーミニプラ 無敵ロボ トライダーG7 3個入りBOX 魔道祖師 前塵編 完全生産限定版 HGUC 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ Ξガンダム MG 機動戦士ガンダムSEED モビルジン 1/100スケール カンチ 青 ノンスケール ABS&ダイキャスト製 塗装済み完成品 ☆赤ver 魔女の旅々17 ドラマCD付き特装版 クリストファー・ノーランの世界 メイキング・オブ・インターステラー BEYOND TIME AND SPACE 時空を超えて るるぶアズールレーン からかい上手の高木さん15からかいカレンダーカード付き特別版 「武装神姫」原案イラスト集 ALLSTARS 機動戦士ガンダム サンダーボルト 17 キャラクターブック付き限定版 とある科学の超電磁砲T OFFICIAL VISUAL BOOK Aqours 5周年記念アニメーションPV付きシングル「smile smile ship Start!」【BD付】
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概要 平成24年5月より、「ニコニコ生放送」内にコミュニティを設置し、不定期的に放送を行っております。このページは、そのうち毎回テーマを決めて放送を行う「ニコ生後藤和智事務所」の紹介を行います。ハッシュタグは#kgotoniconamaです。 コミュニティ コミュニティ「後藤和智事務所 ニコ生出張所」はこちらです。 http //com.nicovideo.jp/community/co1654257 資料及び過去の放送番組 Evernoteにて公開しております。 https //www.evernote.com/pub/kazutomogoto/niconama
https://w.atwiki.jp/freeddpp/pages/20.html
設立年月日 1995年4月 (個人建築事務所フリーダム設計として) 役員 代表取締役 鐘撞 正也 取締役 山神 智次郎 取締役 福池 卓 取締役 太田 径範 スタッフ数 61名(2012年8月現在) 主な事業内容 建築設計監理 許可登録 一級建築士事務所登録 東京都知事 50906号 一級建築士事務所登録 兵庫県知事 102090号 宅地建物取引業者 兵庫県知事(1)110865号 大阪府知事登録 (イ)第22525号 愛知県知事登録 (い-22)第12160号 千葉県知事登録 第1-1106-7502号 沿革 1995年 建築事務所フリーダム (個人) を設立 1996年 神戸市中央区下山手通4丁目に事務所を移転 2001年 建築事務所フリーダム (個人) を改め、 (有) 建築企画設計事務所に名称変更 業績拡大により神戸市中央区栄町通3丁目に事務所を移転 2002年 業績拡大により神戸市中央区栄町通6丁目に事務所を移転 2003年 業績拡大により神戸市中央区山本通2丁目に事務所を移転 住まいづくりに必要なインテリアを強化するために、 造付家具のデザインや家具の輸入販売を主な事業とする 関連会社 (株) プライエを設立 2004年 (有) 建築企画設計事務所を改め、 (株) 建築設計事務所フリーダムに名称変更 関連会社 (株) プライエを改め、 (株) ノーバンインシストに名称変更 関東圏進出のため、東京日本橋事務所兼ショールームを開設 2006年 大阪梅田事務所を開設 2007年 神戸本社リニューアルオープン 東京自由が丘事務所を開設 2009年 名古屋事務所を開設 2010年 特設コンテンツ、FREEDOM TVをリリース 代表取締役鐘撞正也が書籍”身の丈コストでデザイン住宅を建てる。”を幻冬社より発売 2011年 千葉事務所を開設 業務拡大により名古屋事務所を移転 2012年 横浜事務所を開設 業務拡大により大阪事務所を移転 新宿事務所を開設 代表取締役鐘撞正也が書籍”世界でたったひとつの間取りができるまで。”を幻冬社より発売
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翌日 秋山探偵事務所 澪唯「おー……」 机の上にずらりと並べられたお菓子を眺めて、二人は感嘆の声を上げた。どう見てもそこらで売っているようなお菓子ではない。 紬「紅茶も持って来たの!」 唯「わぁ~!」 紬はティーセットをお菓子の皿の横に置いた。これもただの代物ではないのだろう。唯は机の上を見て、目を輝かせた。 唯「食べてもいい!?」 唯は体をうずうずさせて、今か今かと待ちわびていた。 紬「どうぞ、召し上がれ!」 唯「いただきまーす!」 唯は近くにあったクッキーを手に取り、それを口にした。 唯「おいし~!」 澪「本当だ……おいしい……!」 紬「よかった」 紬は穏やかに微笑みながら、カップに紅茶を注いだ。唯と比べて手際がよかった。そして、二人の前にカップが並べられた。 紬「お茶入れたよ」 澪「ありがとう、ムギ」 澪は慎重にカップを持った。近くで見ると、やはりどこか高級感に包まれている気がした。澪は思いきって一口飲んでみた。 澪「おいしい……」 澪はうっとりとした表情で至福のひと時に浸った。日頃の疲れを忘れられる瞬間だった。 紬「うん、おいしい……」 紬も紅茶を飲み、微笑みながら左手を頬に添えていた。事務所には緩やかなティータイムが流れていた。 コンコン 澪唯紬「!!!」 突如、事務所にノックが鳴った。澪は思わず立ち上がり、改めて机の上を見渡した。もし、来たのが依頼人ならば、こんな有様を見せるのはみっともない。 しかし、紬は既に事務所の扉へと向かっていた。 紬「はーい」 ガチャ 紬「はい?」 純「こんにちはーっ!」 純「……あれ?」 現れたのは純だった。しかし、純は見慣れない人物を見て少し戸惑った。 紬「?」 梓「あのー……ここって、秋山探偵事務所ですよね……?」 純の後ろに立っていた梓も姿を現した。 紬「そうですけど……」 唯「純ちゃん! 梓ちゃん!」 純「あっ! 唯さん!」 唯が三人の元に駆けつけた。紬は梓と純を見つめてから尋ねた。 紬「この子たちは唯ちゃんのお友達なの?」 澪「以前、この二人の依頼を解決したんだ」 澪も駆けつけて、紬に説明した。 紬「へぇ~!」 紬は感心したように感嘆の声を漏らした。 純「この人は……?」 唯「新しい助手のムギちゃんだよ!」 紬「どうも、初めまして、琴吹紬といいます」 梓「は、初めまして……!」 純「初めまして……!」 梓と純は紬の畏まった態度に少し緊張した。 澪「ところで、今日はどういったご用件で?」 そう言った直後に、梓と純が黒いケースを背負っているのに気づいた。 梓「さっき、ライブハウスに行ってたんです」 純「で、その帰りにここに寄ったわけです」 澪「まったく……」 屈託なくの無い笑顔を浮かべながら話す純を見て、澪はため息をついた。 梓「すいません……迷惑ですよね……」 澪「いやいや! そういう事じゃないんだ!」 唯「まぁ、お茶でも飲んでいきなよ!」 純「やった!」 唯は一歩後退し、手招きして梓と純を呼んだ。 梓「いいんですか?」 唯「うん!」 紬「じゃあ、私お茶入れるね!」 紬はにっこりと微笑んでから、準備にかかった。心なしか、その後ろ姿は嬉しそうに見えた。 澪「…………」 唯と梓と純の三人はソファーに向かい、澪はその場に立ち尽くした。 唯「ねぇねぇ、二人が持ってるのってギターなの?」 梓「純のはベースで私のがギターですよ」 唯「へぇー……!」 唯は顔を輝かせてケースに入ったギターとベースを見つめた。純は唯がケースを見つめているのに気づいた。 純「……見てみますか?」 唯「えっ! いいの!?」 純「はい、どうぞ」 唯「わっ! 意外と重いんだね」 梓「私のギターは純のベースよりは軽いですよ」 唯「本当だ! ちょっと小さいね」 唯「ありがとう、かっこいいね!」 梓「そうですか?」 紬「お茶入れたわよ~」 梓純「ありがとうございます」 紬「どうぞ、ゆっくりしていってね」 梓純「い、いただきます……」 二人はカップを手に取り、紅茶を飲んだ。 梓純「(おいしい……!! おいしすぎる……!!)」 梓は思わずカップの中身を覗き込んだ。よく見てみると、どこか高級感に満ちている気がした。隣の純を見ると、雷に撃たれたような表情を浮かべて固まっていた。 梓は顔を上げて紬の顔を見た。綺麗で長いブロンドヘアー、どこか気品のある雰囲気。梓はいつの間にか見入ってしまっていた。 紬「何か顔に付いてる?」 梓「あっ! いえ! 何でもありません……」 梓はその場を誤魔化すようにカップに口をつけた。顔が紅潮しているのがわかった。 梓「(綺麗な人だなぁー……)」 唯「ところで、さっき言ってたライブハウスって何?」 澪「ライブハウスというのはだな……」 澪「ロックやジャズの演奏が生で聞ける施設なんだ!」 気を取り直した澪がみんなの元にやってきて力強く説明した。 梓「澪さん、音楽やったことあるんですか!?」 梓は新しい玩具を買ってもらった子どものような目で澪を見つめた。梓の眩しい視線に澪はたじろいだ。 澪「い、いや……やったことはないかな……」 純「じゃあ、音楽に興味ありますか?」 澪「うん、音楽は好きかな」 唯「私はよくわかんないや」 唯は頭を掻きながら笑ってみた。 紬「私も音楽は好きかな」 純「ムギさんは何か音楽やったことあるんですか?」 紬「私は4歳の頃からピアノをやっているわ」 唯純「おぉー……」 梓「(やっぱりお嬢様なのかな……)」 純「音楽に興味あるなら、CD貸しますよ!」 澪「え? じゃあ、借りようかな……」 澪がCDケースに手を伸ばしたその時 梓「!!」ピクッ 突然、梓の中で何かが閃いた。梓の好奇心がどんどんと湧き上がってきた。 これならいける! 梓は直感的にそう思った。 梓「澪さん!」 梓は勢いよく立ち上がって澪の顔を見た。 澪「どうしたの?」 いきなり梓が立ち上がったので、澪は少し体を仰け反らした。 澪「音楽やりませんか!?」 澪「音楽……?」 梓「そうです! 音楽です! バンドです!」 梓のテンションは最高潮に達した。あまりの出来事に隣に座っている純も呆然と梓を見上げている。 澪「いや……楽器なんて殆ど触ったことないし……」 梓「初めは誰でも同じです!」 澪「で、でも……他のメンバーとかが……」 梓「大丈夫です! 初めは純と二人でどこかに入ろうと思ってたんですけど、純が忙しくなってきて、今は私一人です!」 澪「いや、でも……ほらっ! 仕事があるから!」 梓「趣味程度でも構わないですから!」 澪は退路を失ってしまった。なぜ、こんなにも避けようとするのか、自分でもよくわからなかった。 唯「面白そう!」 紬「楽しそう~!」 澪「え?」 唯と紬は興味ありげに梓を見つめた。澪はまた自分だけが取り残されている気がした。 唯「私も何かやってみたいな~」 梓「やりましょう、唯さん!」 紬「私もバンドやってみたい!」 梓「お願いします!」 梓は二人に頭を下げた。 梓「まぁ、三人でもバンドは組めますが……」 梓「あと、一人欲しいですね……」 そう言って梓は澪を見つめた。唯と紬もそれに続き、先程まで梓を見上げていた純までもが澪を見つめていた。澪は自分に視線が集まっているのに気づいた。澪はため息をつきながら、決心した。 澪「わかったよ、やるよ……」 唯「やったー! バンド結成だね!」 唯は両腕を上げて喜んだ。紬と梓も微笑んでいる。澪はそんな様子を眺めている純に声をかけた。 澪「純ちゃんは入らないの?」 純「私は少し仕事の方が忙しくなってきたので」 澪「そっか……」 しかし、純もどこか嬉しそうな表情だった。 梓「それじゃあ、楽器を決めましょうか!」 紬「はい! 私、キーボードやりたいです!」バッ 紬が素早く右手を上げた。 梓「そうですね、それでいいと思います!」 紬「やった!」 紬は小さくガッツポーズした。 梓「澪さんはギターなんてどうですか?」 梓は笑顔で澪に提案した。しかし、澪の表情は冴えなかった。 澪「ギターは目立って恥ずかしいから嫌だ……」 純「じゃあ、ベースなんてどうですか?」 澪「ベースか……」 澪はベースを弾いている自分の姿を想像してみた。想像の中の自分は決して目立ちすぎず、だからといって他の楽器の音に埋れていなかった。それは澪にとって、理想的な光景だった。 澪「ベースならできるかも……」 梓「じゃあ、澪さんはベースですね」 唯「私はどうしようかなぁー……」 梓「あとは……ギターとドラムぐらいですかね……」 唯「うーん……ドラムかぁ……」 唯はドラムを叩いている自分の姿を想像してみた。スティックを持って不安気な表情でオロオロしていた。 唯「たくさんのこと同時にできないや」 梓「じゃあ、唯さんはギターですね」 梓「今度、みんなで楽器を見に行きませんか?」 唯「うん! 行こう、行こう!」 紬「楽しみ~♪」 盛り上がっている四人を見て、大変な事になってしまった、と澪は思った。その反面、新しい趣味を始めるのも悪くないとも思った。 12
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10 名前:最高!キネシス事務所☆ ◆mGG62PYCNk [sage] 投稿日:2009/07/27(月) 00 25 49 ID 3K2/za8p カウンターでエリーの分と俺の分の料金を支払った。カウンターの店員はクレーマーに慣れていないのか、どうしていいのかわからないような顔色になっている。 ………労りの言葉でもかけてあげるか。 「パフェおいしかったです。頑張ってください。」 「あ、ありがとうございます!」 ふっ。決まった。 店員ははにかんだ様子で微笑んでいた。 「急ぎましょう。」 「ああ。」 店から出た俺達は少し暗くなった辺りを見回している。 犯人、さっきの女を捜すために。 ……すぐに見つかった。不満そうにブーツをコツコツと鳴らし、速歩きで明かりのない暗がりの路地へ向かっている。 明かるい道路沿いなら尾行しやすいのに。 ……しょうがない。尾行を続行する。 これを逃したらもう見つからないかもしれないしな。 バレたらしらばっくれるか問い詰めるまでだ。 「……行くぞっ。」 「気づかれないようにかなりの間隔を保って尾行しましょう。幸い道路から隔絶されていて騒音がないのでブーツの音がよく聞こえます。見失う事はまずないでしょう。」 たしかにそうだ。 周りに騒音がなくブーツの音がよく聞こえるということはこっちの音もよく響いてしまうという事。 見失わない事よりもバレない事に重点を置かなければならない。 一瞬気づかれただけなら尾行されているとは思わないだろうが、さすがに靴の音が聞こえっぱなしだとバレるに決まっている。 彼女が小さく見えるまで待った。音がかすかに聞こえる。 ………行くか。 長い道に左右には広大な田んぼ。土地の所有権は誰が握ってるんだと気になるほどの。 日の明かりはもうほぼ無いに等しい。暗がりだ。彼女の姿はほとんど見えていない。 たまに立っている街灯の明かりと、雀の涙ほどに聞こえるブーツが地面を蹴る音を頼りに進んでいる。音を鳴らさないようにゆっくりと。 ―――………。 ふと思った。俺はただのストーカーなんじゃないかと。 ……違う。けっしてそんなんじゃない! とにかく今は無駄な事を考えちゃいかん。 長い田んぼの道は終わり、彼女は閑静な住宅街へ入った。 ……額を拭ってみると汗がすごい出てる。疲れと緊張がピークに達している。奇声をあげたくなる。精密なプラモデルでもやらされているかのようだ。 11 名前:最高!キネシス事務所☆ ◆mGG62PYCNk [sage] 投稿日:2009/07/27(月) 00 28 25 ID 3K2/za8p しばらくして俺達も住宅街へ入った。 住宅やマンションが所狭しと建っていて道も細い。音がより響いてしまうようだ。 でもまあここまで来たら振り向かれてもそっぽを向いて彼女とは違う道へ行けば大丈夫だろう。住宅街ってのは大体どことでも繋がっているから離れていても尾行はできる。そろそろ家に着く頃だろうし。 ただしあくまで警戒レベルを下げただけだ。 携帯の時刻を見た。7時30分。 お子さまはおねむの時間ではないのかとエリーをチラ見したが、ギンギンだった。 大分歩いた……。 用水路の水が流れていて、かすかに音が聞こえる。カエルや虫が鳴いている。 !!!! 彼女が突然立ち止まった!!! やばい!!! とっさに壁に隠れた。 隠れた事に大した意味はない。バレてはいけないというより罪悪感というのが僅かに強かったか。 ……よくよく考えてみたら最初からバレてて、これは俺らを試したのかもしれない。 エリーは俺よりも早くそして静かに、真横へスバァッと隠れた。 エリーも隠れたんだ。これでよかったはずだ、と高鳴る心臓を無理矢理落ち着かせてみようとする。 ……………? この音、しゃっくり……? ………・ 12 名前:最高!キネシス事務所☆ ◆mGG62PYCNk [sage] 投稿日:2009/07/27(月) 00 31 13 ID 3K2/za8p ………わざわざ立ち止まってしゃっくりするの? 緊張する中、突然彼女が喋った。 「…………でっ………みんなっ。偽善者ばっかり。偽善者偽善者偽善者偽善者…………。」 ………わかった。彼女は泣いている。よく聞き取れないが声は震え、とにかく『偽善者』と何回も繰り返している。 冷たい言葉で切り捨てられるようなムードではない。……………器物損害やクレームについて許したわけじゃないけど、どうも容赦なく憎めるような相手ではないみたいだ。何か理由があったに違いない。 人が笑ったり泣いたりすると自分も同じような顔になるのは俺だけだろうか。 気がつけば俺は自分の顔をくしゃけさせていた。 ………様子が見たくなった。壁から少し顔を出し見てみた。 ぶつぶつと俯いたまま言っている。 瞬間。 「あああああ゛あ゛ぁぁ゛ぁ゛!!!!!!!」 彼女が叫びだした!! 叫びが住宅街に響き渡る。 明らかに普通ではない。 俺はさっきまでの嫌悪感や罪悪感や同情などを一切失い、恐怖に染まりきった。 こいつ、ヤバい………!!!! 彼女は胴だけをぐるん、と振り回し、マンションの駐車場に停めてある車へ殴りかかった!! 「ああああ゛ーーーーー!!!!!!」 ―――………。 車は正面から潰されそのまま後ろのコンクリートの塀へと叩きつけられた。 ドォォォン!!!という轟音が鳴り響いた………。 「ああああぁ~こんなんで収まんねぇよ~あ~腹立つ~偽善者ども~。」 うめき声をあげ、彼女はまた歩きだした。ふらふらとおぼつかない足どりだ。背を丸くしている。 …………怖い。 怖い怖い怖い怖い怖い!!! もう帰りたい………。 …………エリーの声で我に帰った。 「おそらくパワータイプのサイキッカーです。施設で一人だけ見かけたことがあります。パワータイプに発現する人間は感情をうまくコントロールできない、情緒不安定な人間が多いと聞きました。」 「……俺は、あんなの見たことがない。あんなやつ絶対更生できるわけがない。でも絶対に戦わなきゃいけない。………もう帰りたい…。」 ありのままの気持ちを話した。 ……瞳に涙がたまっているのがわかる。 俯き、古い洗濯機のように震えている俺の肩に手が乗った。 そして、その手の張本人が俺に目を合わせた。 「……以前あなたと仕事を共にした時にあなたの事は見ています。 私たちは勝てます。信じてください。」 13 名前:最高!キネシス事務所☆ ◆mGG62PYCNk [sage] 投稿日:2009/07/27(月) 00 34 09 ID 3K2/za8p ………。 いつもより声が優しい感じがした。 ………測定器か何かがあれば測りたい。今のがいつもの冷たい声だったのかを。 俺の恐怖から逃れたいという願望から生じた幻想なのかもしれない。 幻想でもなんでもいい。とにかく彼女の声は心に迫るものがあった。 ………ふん。 女の子にこんな事言われて引き下がるわけにはいかないか。 「ですが今は万全ではありません。まず彼女の住所を突き止めるのが得策です。」 「だな。」 ……尾行を再開する。 俺達はさっきの殴られた車が停めてある駐車場を横切った。 車はプレスで潰されたように前から圧縮されている。ワゴン車でよかった。軽自動車などの軽い車なら吹っ飛ばされ塀を越えて民家にぶち当たっていたかもしれない。 車のライトが目に見える俺には、まるでこいつが泣いてるように見えた。 ましになったはずなのに、また恐怖がぶり返してきた。でも行かなきゃ。 「うふふひ、ひっく、うはははは。殺してぇー。偽善者ども殺してぇー。」 ひっくひっくとしゃっくりをしつつ、物騒な事を言っている。 不審者そのものだ。むしろ浮浪者だ。 すると彼女はアパートの方へ向かった。どうやらここに住んでいるようだ。 ひとまず安心した。化け物に殺されなかったということに。 「……やったな。」 「そうですね。」 彼女は二階へ上がり、鍵を開け、部屋へ入っていった。 アパートの外観は……それほどよくない。というかボロの部類だろう。階段の手すりや扉などはところどころ錆び付いていて、さっき彼女が閉めた扉からはガン!というただ鉄がぶつかったようなボロアパートそのものの音がなった。 少なくとも手入れをしているようには見えない。家賃もそれほど高くはないだろう。 ………ギリギリ島田さんの事務所の勝利。(ボロさ勝負) 「今日は帰るぞ。もうくたくただ。」 「お疲れ様でした。」 「………君も帰るんだよ?」 「わかっています。」 携帯の時刻を見た。7時40分。 今から急いで行けば最終のバスに間に合うか。 間に合わなければタクシーしかない。とほほ。 バス停へたどり着いた。8時25分の最終に間に合いそうだ。 もう……疲れた……。足が悲鳴を上げている。横腹も痛くなったし吐きそう。 ベンチで休んでいると数分もしないうちにバスが来た。バスの優しい明かりが祝福してくれているかのようだ。 14 名前:最高!キネシス事務所☆ ◆mGG62PYCNk [sage] 投稿日:2009/07/27(月) 00 36 39 ID 3K2/za8p 「お疲れ様でした。お世話になりました。」 「うん。」 エリーを送っていくついでに自転車を取りにいった。 今、島田さんの事務所の前だ。 ……なんだろうこの感覚。 この子と別れるのが名残惜しいような。 …………いやいや、ガキ相手に何を考えてるんだ。とっとと帰るか。 自転車の方へ足を進めた。 エリーも階段を上がっている。カンカンと音が鳴っている。 「…………私には理解できませんが、努力はしてみます。」 「ん?」 声が聞こえたのですぐに彼女の方へ視線を向けた。 「……なんでもありません。またよろしくお願いします。」 「うん。」 ……『理解できない』、『努力』………おそらく『笑うこと』だろう。 あの時たしか彼女は「笑うことが『できない』」といったはずだ。 笑いたくても笑えないか、笑うことを周りが期待してるけどできない、の2つのニュアンスが考えられる。 ……考えすぎか? そもそも笑うことを努力するのかもわからない。気持ち悪いけどあなたと手を繋ぐことを努力しますって事かもしれない。 深く考えるのはよそう。 15 名前:最高!キネシス事務所☆ ◆mGG62PYCNk [sage] 投稿日:2009/07/27(月) 00 37 24 ID 3K2/za8p 「お疲れー。」 「はい。島田さんもお疲れ様です。」 「おー。 で、犯人の事で何かわかったことはあるか。」 「住所がわかりました。そして能力はやはりパワータイプのサイキッカーです。」 「そうか。 でもまぁ二対一で向こうは素人だ。その上隙を付けば一発で『止められる』だろ。次もよろしく。 ……で、リュウイチはどうだった。」 「……別にどうもありませんが。」 「もう寝るのか?寝る前に算数のドリルやっとけよ。」 「はい。」 バタン。 「……………今日も変な人、でした。島田さんよりも。」 16 名前:最高!キネシス事務所☆ ◆mGG62PYCNk [sage] 投稿日:2009/07/27(月) 00 41 30 ID 3K2/za8p エリーとの初めての任務のことを振り返っている。 任務は森の廃工場の中で行われた。 そこら中が錆び付いていてツタや雑草が生い茂り地面には見たことのない虫が這っている。 目の前には景色とは全く合わない白スーツの男がたたずんでいる。 男の容姿は金髪で顔の目鼻立ちは妖精のように美しく、気持ち悪いほど白スーツが似合っている。 手には弓と4本の弦が張った楽器を持っている、おそらくバイオリンだ。 男は俺達を見るなり笑顔で口を開いた。 自信満々といった感じだ。 「もしもここがフランスの美しい街だったとしよう……。 川辺は優雅に揺れ昇りはじめた太陽の光をきらびやかに反射している。川辺に住まう民家の住民たちはベランダで大きく背伸びをし体全体で朝を感じている。小鳥たちの騒がしくも愛らしい囀りに耳を傾けるのもいい。」 「………?」 男は弓を持った手の人差し指だけを立て口元に運んだ。 この男は確かにここにいるのに何か別の空間にいる気がするのはこの男が自分の世界に陶酔しきっているからだろうか。 「でも君たちはそんな朝焼けを眺めることはできない。」 口元の人差し指を横に振っている。 「なぜなら……………すべての美しさを凌駕するこの僕に見とれてしまうからだ。……ハァッ!!!」 「来るぞ!!!」 意味のわからない事を言い放ち奴はバイオリンを素早く演奏した。音色は高音でするどく、とても攻撃的だ。 すると地面が爆発し、火炎が巻き起こった!地面のコンクリートは砕け散り砂埃が巻き起こる。 爆発に当たれば即死だろう。火の粉や破片だって当たれば致命傷は間違いない。だからといって右往左往していては俺達にターンはない。 避けながら接近するしかない。俺達は散り散りになり、それぞれが奴へ向かって全力で走った。 「この醜い世界の崩壊をもって新たなる新世界の朝焼けを呼び起こそうではないか!!!」 俺やエリー、島田さんを狙うように連続して爆発している。正確には狙えないようだ。 すると白スーツの男がニヤリ、と笑った。 「そこだぁ!」 エリーの着地しかける地点の付近で爆発が起きた!!エリーは真後ろへ吹っ飛ばされた。 「エリー!!!!」 俺と島田さんの声が重なった。 「おいリュウイチィ!!てめーはエリーのとこに行け!!!」 「はいっ!!」 島田さんはいつもの呆け面ではない。明らかにカタギではない面構えだ。 17 名前:最高!キネシス事務所☆ ◆mGG62PYCNk [sage] 投稿日:2009/07/27(月) 00 43 43 ID 3K2/za8p 俺はすぐにエリーの元へ走った。 ………が、突然真上で爆音が聞こえた。 やられた。工場のもろくなった天井を爆発したようだ。鉄骨が落ちてきた。 ………死ぬ瞬間ってのはずいぶんゆっくりに見えるもんなんだなぁ。 「ぐぅっ!!」 島田さんは鉄骨へ手をかざし、止めようとしている。 頭の先まできた無数の鉄骨を目にし、死を覚悟した。 ………ただで死ぬわけにはいかない。せめて目の前の女の子を助けて死のう。 うろたえている彼女に覆い被さり、数多の鉄骨が落ちてきた。 「………なぜ助けたのですか。」 「……………はあ?」 ………生きてる。 頭を打ったみたいで景色がぼんやりしている。 「………何もせずに勝手に死ぬなんてできるかよ。………君はせいぜい幸せになれよ……。」 「…………。」 気がつけば俺は事務所のベッドの上にいた。意識を失ったのだ。ちなみにベッドは今はエリーの物になっている。 俺が寝ている間エリーは俺の事をずっと看病していてくれたらしい。……まあ彼女の事だ、寝る場所が無かったからとかその程度のことだろうが。 結局白スーツの男は逃げたらしい。あの男の事について島田さんは『今は知らなくてい 18 名前:最高!キネシス事務所☆ ◆mGG62PYCNk [sage] 投稿日:2009/07/27(月) 00 45 48 ID 3K2/za8p と言っていた。 今も島田さんは奴を捜査しているようだ。 ………朝か。 学校に行かなきゃ。 適当にパンとコーヒーで朝食を済ます。 脚がまだ痛い。サイコメトリーの疲労も取れ切れてはいない。 でも……行かなきゃしょうがない。 通学用の鞄を持った。 「行ってきまーす。」 自転車に乗り、道路に出た。 街は混んでいる。これから出勤って人ばっかりだからなぁ。 いつものように学校の門を通った。 「おはよー。」 「おー。」 中学生の頃からの知り合いが何人かいる。 自転車を停め、鍵を閉めた。 教室で、遠藤さんと目があった。 そりゃ目だって合う。彼女は視線を教室の扉に一点集中されていたのだから。 『おはよ☆』なんていう爽やかな挨拶が苦手な俺はとりあえず微笑んでおいた。 彼女も恥ずかしそうに微笑み、俯いた。 ……今日は一緒に勉強できそうだ。 初め彼女に話しかけたのは俺からだったが、何回か話しかけていると彼女からも話しかけてくれるようになった。 たしか中学生の頃かな。 高校に上がってからはいつも彼女から声をかけてくれる。 彼女はなんでこんな中途半端な高校に入ったのだろうか。彼女の学力ならもう二つ三つレベルが上の高校に入れたはずだ。 ……まあどこの高校にも成績のいい子はいるしそんなにレベルの高くない高校から早稲田や慶応に行ったりする変態もいる。 大して重要視しなかったのかもしれない。対する俺はこのレベルが高くない高校を卒業できるのかすらあやふやだ。彼女に頼るしかない。 彼女もそんな俺に勉強を教えることによって優越感を得ているだけなのかもしれない。というかそうに違いない。 完璧超人である彼女が俺のようなアホ星出身に教えを賜ってくださるのだ。喜んでお言葉に甘えよう。 授業が始まった。 俺の大嫌いな英語だ。
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メインシナリオ 署長室 ひな「アレスくん(アリスちゃん)♪」 主人公「ひなちゃん。お母さん、元気になったんだね。」 ひな「うふふ、アレスくん(アリスちゃん)のおかげ。ありがと~。」 美しい女「ひなの母、みささぎです。」 みささぎ「弟とひなから、あなたさまのことを聞きました。」 みささぎ「ひなを見つけて町へ送り届けてくれたうえに私のことも助けていただいたとか。」 みささぎ「あなたさまは命の恩人です。本当にありがとうございました。」 主人公「そんな。当然のことをしただけですよ。」 みささぎ「ああ……なんて良い人なのでしょう。あなたさまこそ、まことの聖人。」 みささぎ「これからは朝昼晩、三度お礼の祈りを捧げます。」 主人公「お、大げさですって。」 むらくも「はっはっは、気にしないでやってくれ。姉上はちょっとばかりズレてるんだ。」 みささぎ「ズレてる……?」 みささぎ「もう1回言ってみな、むらくも。私のなにがズレてるって?」 むらくも「う……す、すまねえ。」 主人公(あのむらくもさんが、たじろいでる……) みささぎ「はっ……!」 みささぎ「お、おほほ、これはお見苦しいところを。」 主人公「い、いえ……あはは。」 みささぎ「このたびのご恩は必ずお返しします。私にできることがあれば、なんでもおっしゃってください。」 みささぎ「それでは、ごきげんよう。」 (翌日以降) 旅館「一期一会」 テリー「そんじゃまあ、相談したとおり雑貨屋はみささぎさんに任せるってことで。」 みささぎ「ひなと2人で暮らせる家を探さなければと思っていましたから、」 みささぎ「渡りに船のありがたいお申し出ですけど…本当によろしいのですか?」 むらくも「そうだぜ、テリー。店をゆずって、あんたはどうするんだ?」 テリー「昔からの夢だった、探偵事務所をはじめるつもりだ。」 むらくも「探偵?こんな平和な町でか?」 テリー「ナゾってのは、物騒なもんばかりじゃない。どこにだって転がってるさ。」 テリー「メガネをどこかに置き忘れたとか、ドアのカギが開かなくなった、とかな。」 テリー「どんな小さなナゾでも、テリー探偵事務所によろしく。」 テリー「Seedのあんたも、手が足りないときは言ってくれ。」 主人公「え?あ、はい!」 ひな「あ~アレスくん(アリスちゃん)だ~。」 主人公「テリーさんの雑貨屋をゆずってもらうことになったんですか?」 みささぎ「そうなんです。」 みささぎ「家を探しているという話をしたら、『だったら雑貨屋をやらないか』と言ってくださって。」 みささぎ「本当にこの町は、いい人ばかりですね。」 (翌日以降) テリー探偵事務所 セシル「お願い!ボクを弟子にしてください!」 セシル「ボク、テリーさんみたいな名探偵になりたいんだ!」 テリー「開業したばかりで名探偵もないだろ。」 セシル「そんなことない!小さいときからテリーさんがナゾを解くのを見てきたもん!」 セシル「とにかく、弟子にしてくれるまでココを動かないからね!」 テリー「……まいったな。」 主人公「あの……?」 テリー「おー、いいとこに来た。あんたからも言ってやってくれよ。」 テリー「探偵なんて目指さないで、マーティンみたいに職人の修行でもしろってさ。」 セシル「ヤダ!ボクは名探偵になって父さんと母さんを見つけるんだ!」 テリー「……そういうことか。」 テリー「わかった、認めるよ。弟子でもなんでも、好きにしてくれ。」 セシル「ホント!?やったあ!ありがとう、テリーさん!!」 セシル「ボク、がんばってお役に立つからね!」 テリー「……やれやれ。」 (翌日) 自室 リヴィア「おはよう、アレス(アリス)。」 主人公「おはようございます。」 主人公(リヴィア署長が部屋まで来るなんてめずらしいな) リヴィア「ねおきのところワルいが、すこしトクシュな任務をまかせたい。」 リヴィア「目がさめたら署長室にきてくれ。」 主人公「は、はい。わかりました。」 署長室 主人公「リヴィア署長。特殊な任務ってなんですか?」 リヴィア「んあ~……それなんだがな。」 リヴィア「どうもこのところ、肩がこってしかたないんだ。」 主人公「え……まさか肩をもむのが任務?」 リヴィア「それはそれで依頼したいところだが、そうではない。」 リヴィア「ルーンのめぐりがよくないんだ。町の遺跡で、ながれがとどこおっている。」 主人公「それと肩こりにどんな関係が……。」 リヴィア「気圧がひくい日がアタマがいたくなったりするだろう?あれとにたようなものだ。」 リヴィア「いまはわたしだけがかんじる不調だがほうっておくとタイヘンなことになりかねない。」 リヴィア「ルーンのみだれは大地のみだれ、大地のみだれはヒトのみだれ、」 リヴィア「ヒトのみだれは世のみだれ、というからな。」 リヴィア「そこで、だ。オマエに遺跡のちょうさ任務をあたえる。」 リヴィア「ルーンのみだれのゲンインをつきとめてわたしにほうこくしてくれ。」
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三番目のN/ああ鳴海探偵事務所 ◆gry038wOvE ハードボイルダーは本来的には580km/hのスピードで走る事が出来るバイクであった。ただ、現状日本の道路でそれだけのスピードを出す事はできない為、左翔太郎も最高時速でハードボイルダーを走らせた事は風都内では殆どない。追跡、逃走、緊急時に限ってそれ以上の速度で走る必要があり、稀にスピードを早めさせて貰う事があるが、少なくとも「左翔太郎」の姿のままで60km/h以上出す事は滅多になかった。 今、この移り変わっていく港の景色をぼんやりと見つめながら、翔太郎はそんな普段の自車と比べた速度の低さを感じ取っていた。感じているのはおよそ30km/hの速度。非常にゆったりとしている。ダミードーパントとしての限界速度なのか、翔太郎を気遣った為なのかはわからない。理由を考えるほど頭は働かなかった。 レイジングハート・エクセリオンがダミーメモリで変身したこの贋作のハードボイルダーに今現在、翔太郎は載っている。彼女にガイアメモリの使用を注意する事もこの時はなかった。当然の指摘をする事さえ忘れるほど、彼の内心が一つの事に傾いていたのだ。 (フィリップ……) 亡き相棒の事であった。 一人の相棒の姿が黎明の空に蘇ってしまうのである。 海岸線の向こうには、まだまだ何も見えないが、だからこそ死者の国があってもおかしくないようで、あの向こうを目指したくなる。手が届かない遠い世界だ。 だが、本当に死人の顔をしているのは他でもない翔太郎だった。当分食べ物を受け付けそうにない渇いた唇は、舌で拭われる気配もなく、半開きの虚ろなまなざしは、どんな景色にも意識を傾けていないようにさえ見える。少し空いた口の中から、時折、バイクの揺れに従って小さな嗚咽が漏れるのが、辛うじて彼を生者にしていた。かつて、フィリップが一度いなくなり、あの長い一年が始まった時、彼は今と同じ顔を個室の鏡の前で見ていたはずだ。 今はサイドミラー越し、たまにそれと同じ物が見えている。 「……」 これでいよいよ、風都に帰る事が出来る仮面ライダーは、正真正銘一人になった。フィリップ、照井の二人の仮面ライダーは勿論、霧彦、冴子、井坂、大道、泉京水まで全員死んでしまった。 この場では、人数は時間が経過するごとに確かに減っていく。 合理性を考えるならば、──人間の命ひとつひとつは勿論、大切な物であるが、それ以上に──今の彼らはひとつの戦力という意味でも要される物であった。 主催者たる何者かは、もしかすれば今のガドル以上という事も充分にあり得る。 (勝てるのか……?) 翔太郎の頭には、ただ不安定で素朴な疑問。 バットショットは帰ってくるだろうか。 黒幕を倒したところで話は終わるのだろうか。 もっとたくさんの仲間がいても勝てなかった相手より遥かに強い主催者を打倒せるのか。 この物語で自分たちは自由と平和は掴みとれるのだろうか。 そして── (俺はもう仮面ライダーにもなれないが、──どうすればいい) ダブルドライバーは勿論、翔太郎の頭脳となるフィリップもいない、強化アイテムであるファングメモリもエクストリームメモリも破壊された、そして、利き腕を失った翔太郎は、これからもまともな行動にさえ支障を及ぼす。 更にそれだけではない。翔太郎は自分自身がそんな現実に打ちのめされて精神的まで萎縮している事をはっきり自覚していた。癪だが、それに抗う気力さえ無い事がそれを証明していた。たとえ今、仮に誰が何を言おうと、翔太郎の奥底にある力が覚醒する事はないだろうというほどに、彼の中が暗い靄が展開しているのだ。 到底、今の自分が戦える姿ではないのはわかっている。肉体的にも、頭脳的にも、精神的にも──それを認め切った時、彼の中に初めて、敗者の気分という物が舞い降りてきた。 これからどうするべきか、というのが彼の中でもわからなくなってくる。 あったはずの意志が小さくなっている──このままいけば完全になくなってしまうのは確かだ。 焦りはあるが、抗う気力がない。いっそ死者の方が百倍楽に、何も考えずいられる。 (今の俺には……何も) 左翔太郎という男が風都を守る事ができたのは、偏に仮面ライダーだったからである。 だが、仮面ライダーという存在を構成する為の諸要素が取り除かれた今、翔太郎は仮面ライダーではなく、ただの不慣れな障害初心者だ。この時もまた、右腕は頭の帽子が飛ばないように抑えようとしていた。 これでは、仮に精神的に落ち着きがあっても、一人の男としての活躍も望めない。 右腕がなければ敵の顔面にストレートパンチを叩き込む事もできず、当然仮面ライダーダブルや仮面ライダージョーカーに変身できてもまともな戦いができない。 自棄になって周囲に暴力を振るおうにも、右腕を振り降ろす事ができない。形のある空気が形のない空気を切るだけだった。 (──) この鬱屈とした感情が発散しきれずに、一度は苛立ちが脳内を支配する。 殺し合い。 その言葉通り、いずれ自分は脱落し、この殺し合いの終わりさえ見えないまま仲間たちの所へ逝ってしまうようなビジョンが見え始めた。 しかし、それを抑え込むのにも疲れはじめ、だんだんと、彼は何も考えなくなり、また一段、気力を失っていく。 レイジングハート・エクセリオンも、普段口うるさい魔導輪もその時、口を開く事はなかった。 △ 鳴海探偵事務所の中は、避難所と化していた。一人の男が起こした大火災で消えた街から、逃げるようにして生き延びた人間たちがそこで神妙な顔をしている。 椅子やソファの数もここにいる人の数を考えれば全く足らず、片足を楽に崩して床に立つ者もいる。例によって、気を使った花咲つぼみや高町ヴィヴィオが数分前までそうだったのだが、今は沖一也や石堀光彦がその役割を担っていた。当然、大の大人の男が女子二名の気遣いに甘んじるわけにもいかない。 事務所のデスクの椅子に躊躇なく座っているのが佐倉杏子だ。性格から来るある種の茶目っ気は、決してこの状況下で誰かを癒す事はなかった。 「さて、どうする」 翔太郎を待つ間、鳴海探偵事務所内にいる彼らは、今後の行動方針を話し合っていた。勿論、翔太郎が辛い境遇に立たされている事は理解しているが、今後についてはなるべく早く決めなければならない。ここで燻っていても時間ばかりが進み、一層不利になるだろう。 最終決戦は確かに近づいている。それに向けて、必要な準備を終えておき、最終決戦までの計画を立てておく。この島に残っている残りの問題も全て解決してから外に向かう予定である。 それはとうに決めていた。 チーム分けは四種類。 D-5エリアに向かうのは花咲つぼみチーム。──美樹さやかを救うという目的で。 図書館に向かうのは桃園ラブチーム。──巴マミを救うという目的で。 クリスタルステーションに向かうのは涼村暁チーム。──戦力増強の目的で。 ほか、なるべく翔太郎とともに待機する人間も数名欲しい。──休息場所や計画立案の目的で。 なるべく平等な戦力になるよう、13人を4つに分けるのである。基本的には本人の希望を叶えるように行動する事になる。ただ、やはり融通を利かせ合う必要もあり、あまりすぐには誰かが口を開く事はなかった。 少しだけ沈黙があった後、自然と誰かが口を開いた。 「おれはつぼみについていく。あかねさんも探さなきゃならねえし、動かねえわけには……」 「私はラブと行きます」 響良牙と蒼乃美希が言う。殆ど同時だった。彼らの場合は、おそらく親しい相手と同じルートを選ぶ事を考えたのだろう。良牙は、天道あかねを捜す目的がある以上、積極的に移動しなければならない。美希は一日かけて再会した友人と、これからしばらくは一緒にいたいのだ。そして、その選択による不都合は一切起こらないと判断した。 「俺は暁と行く。電力源は俺の手にあるしな」 暁の行く道には石堀光彦が続くようだ。一人が行けば、後は遠慮なく円滑に立候補が出る。 クリスタルステーションに行くのは、三体の超光騎士の為だ。だが、超光騎士を動かすには高圧電流によって、一度起動させる必要がある。石堀が変身する仮面ライダーアクセルのエレクトリックの力によってそれを可能とする。 他にも沖一也や響良牙などが電撃系の技を使う事ができるが、誰も挙げないならば早い内に安全なルートを目指したかったのだろう。だが、どうやら暁はそれでは不服なようだ。 「なんだよ、男と一緒かよ……」 「じゃあ、私も行きましょうか?」 更にそこに続こうとするのは、高町ヴィヴィオであった。 暁の言葉を真に受けたのだ。暁は残念ながらこの年代の少女に興味ナシという感じだが、不服な気分は少し和らいだ。多少雰囲気が和やかになると思ったのだろう、暁は彼女を歓迎するように能天気な笑顔を見せた。 おそらくレイジングハート・エクセリオンもこちらの道を選ぶだろう、という算段がすぐに暁の中で組みあがっていたのもこの笑顔を構成する一要因だ。 「私は──」 杏子は、こうして次々決まっていく中でも、まだ迷いがあった。 ラブとつぼみが行きたい場所は、実質「おめかしの魔女」や「人魚の魔女」の居場所だ。 その二体の魔女と杏子は知り合いだった。巴マミと美樹さやか──あの二人。 かつての魔法の師匠、巴マミ。 かつて対立した魔法少女、美樹さやか。 どちらに行くべきか──。二つの魔女を順に倒していく時間はない。 どちらにもそれぞれ、因縁があり、義理があり、未練がある。どちらかを選ぶという事は、どちらかを選ばないという事になってしまう。 桃園ラブ、花咲つぼみの二名も、おそらくは杏子が一緒に来てくれる前提で計画を立てている事だろう。どちらかを選ぶと同時に、そうでない方を裏切るのが「選択」なのだ。 悩んだ後で、杏子は言った。 「──悪い、つぼみ。私はラブと一緒に行く」 つぼみに謝りながら、杏子は自分が行く道を伝えた。このままマミと会った人間がいなければ当然、つぼみと一緒に行く予定だったが、ラブに会った今はそうもいかない。 しかし、つぼみは何となく察したのか、黙って頷いた。恨み顔をしているようにも見えるが、むしろ事情を解したうえで、自分自身で成し遂げようと言う決意ある顔だった。 自分自身で成し遂げる──あるいは、それも一つの正しい道だった。 杏子が来るか、来ないかという選択が、またこの先、運命を変えていってしまう事など、気づきもせず、ラブとつぼみは杏子の選択を歓迎した。 しかし── 「ねえ、きみは何でそう深刻そうに道を選んだのかな?」 零が首を傾げつつも、杏子の腹の内を探るように笑って訊いた。 杏子は、見透かされたような意思を感じ、一瞬で機嫌を損ねた。 「あ?」 眉間に皺を寄せて零の方を見る杏子に、零は相変わらず笑顔を崩さなかった。杏子にとっては、世界で最も邪悪な笑顔に見えるかもしれない。 重大な秘密を暴かれるのではないかという不安が杏子の脳裏を掠めた。 この男の髪先に視線を合わせると、零の方は強引に視線を合わせてくる。その視線をまた弾いた時、零は訊いた。 「二人がやりたい事って、結局何なんだ? 魔女を倒すって言ってるけど、今の様子だと、なんだか、只事じゃないね。……そっちの事情はずっと俺たちに黙っているつもりかな?」 この中で、杏子の隠している事を気にしているのは零だけのようだ。他の人間は問い詰める事もなく、零を止めるのでもなく、もしこれが機会になれば話してほしいとばかりに黙ってその様子を見つめていた。 「……」 「どう?」 零は、同じく秘密を抱えているだろうラブやつぼみにも視線を送ったが、それぞれ目を逸らした。 そんな様子を見て、零が、やれやれ、と嘆息しながら言った。 「……わかった。誰も答えないなら、俺もついていく事にしようかな」 何とかお茶を濁そうとする杏子に、零はそう勝手に決めた。 騒めくギャラリーを代表して、杏子が焦燥した様子で答える。 「はぁ!? ちょっと待てよ。時空魔法陣とかいう物の管理はあんたしかできねえんだろ!?」 「どうせ、行ける場所なんてもうそんなに残ってない。破壊された施設には時空魔法陣を発動できないんだ。たとえば、図書館の近くに行くにも、肝心の図書館、教会、風都タワーは全壊。更に言うなら、三人で行くには遠すぎる。村エリアにある車を使っていくのが一番の得策だから、運転できる人間が必要になる。きみたちは運転できる?」 佐倉杏子、桃園ラブ、蒼乃美希の三人だけで行くには、遠すぎるのだ。 村からそう遠くないD-5エリアや、時空魔法陣で移動できるクリスタルステーションはともかく、この距離の移動が徒歩であるのは難しい。 ましてや、女子中学生だけ三人というのは無理に決まっている。 「それなら、孤門さんをそちらに向かわせるべきです」 横から口を挟んだのはつぼみであった。 零は意表を突かれたようにそちらを見た。 「え?」 「涼邑さんは、私たちについてきてもらえませんか?」 「どうしてかな……」 零がそれを口にしながらも、なるほど、すぐに意図を理解した。 「……そうか。戦力バランスの問題か」 もし零が杏子についていくと、魔女を退治にしに行く二チームの戦力差が激しくなるのである。 ラブチームが、ラブ、美希、杏子、零。つぼみチームが、つぼみ、良牙、孤門。 「涼邑さんは杏子の意図がわからないみたいですけど、私についてくれば、杏子が何をしたいのかもわかります」 「だが、戦力バランスの沖さんを連れてくればいい」 「それも駄目なんです」 つぼみは、何となくこの場の様子を見て一也が一言も話さない意図も理解していた。 決して、他の人間に行き場を譲るつもりで黙っているわけではない。自ずと余り物になるこの「待機」という選択肢を考えているのだ。 それは、戦いたくないからでも、休みたいからでもなかった。 「だって、沖さんは、結城さんの腕を翔太郎さんに移植するつもりなんですから」 そう、左翔太郎の右腕が損失されたとしても、ここには丁度、おあつらえ向きの「右腕」が残っていた。誰もがその移植について一瞬考えただろう。ただ、それを口にしないのは、科学や医学に一切詳しくない人間には、それが現実性のある話なのかわからないからである。しかし、少なくとも科学の方面で一定の理解がある一也が思案しているという事は、アタッチメントの再移植は可能かもしれないという事だ。 「……その通りだ。しかし、実際に翔太郎くんの姿を見ない事にはどうにもならない。どのくらい損失したのかによって、アタッチメントを取り付けられるかどうかも変わる」 「……」 「ともかく、俺は向こうに着いたら、翔太郎くんの為に最善を尽くしてみるつもりだ」 机上に置いてある鋼の右腕を見つめながら、一也はそう言った。 零はそんな彼の様子を見て、考え直す事にした。杏子が隠しているらしい何かは、つぼみについていけばわかるという事である。それはおそらく間違いない。 戦力バランスを考えても、零が行くべき道は一つだろう。 「なるほど……。それじゃあ、仕方ないな。ほら」 零が魔戒剣を翻した。つぼみに向けて魔戒剣の柄を向け、つぼみに向けて押し出す。 咄嗟につぼみはその柄を掴む。どっしりとした重みのある鉛のような剣で、つぼみは思わず手を放してその剣を落としてしまった。音が鳴るも、地面から跳ね返る事もなく、重量級の物体が地面に落ちたのを感じさせた。 「あ、すみません……!」 慌ててつぼみはその剣を拾おうとするも、そのあまりの重量に、持ち上げる事ができなかった。その様子を見て、零は憂いの瞳で言った。 「やっぱり制限なんてかかっていなかったのか」 前に、ソウルメタルの重さについて結城丈二と語らった事がある。 あれは並の心の人間には持てない材質である。──いや、仮に常人の中でそこそこ精神の強い者でも、ソウルメタルを持ち上げる事は難しい。 しかし、結城は軽々と持ち上げた。それは、あの義手の力でもあり、結城のこれまでの仮面ライダーとしての長い戦いに依る所があったのだろう。 「こ、こんな重い剣で戦ってるんですか……」 「それはソウルメタルで作られた剣だ。心の持ちようで重さを変える。普通の人間じゃあ到底持てない。俺や鋼牙みたいに鍛えた人間じゃないとな」 「そ、そうなんですか」 「だが、結城さんはその右腕で確かに持ち上げて見せたんだ。きっとこれからも俺たちを助けてくれる。その右腕を絶対に無駄にするなよ」 一也は、その言葉に頑健な顔で頷いた。 △ (帰って来た……いや……) 左翔太郎は鳴海探偵事務所の前まで来ていた。 (違うな……) 鳴海探偵事務所という場所に辿り着いたとしても、それはただ彼を辛くするだけであった。眼前の「かもめビリヤード」という立札がこんなにも寂しく見えるのは、果たして何度目か。 鳴海壮吉が死んだ時も、フィリップが地球の記憶と同化して姿を現さなくなった時も、左翔太郎はこの看板を無意識的に見上げたかもしれない。いや、厳密には彼はその看板を見ようとして見ているのではなく、顔を上げると偶然視界に入ってしまうだけだったのだが。 「……はぁ」 吐息は溜息となった。 思わず、殺し合いの事を忘れてこの探偵事務所こそが自分の暮らした場所であるように感じて安心したが、その思いはすぐ、勝手に取り払われた。考え直してみれば、この鳴海探偵事務所は、これほど精巧に似せてあるというのに、全く別の物なのだ。 レイジングハートは、並んでいるバイクや自転車の横に自ずと駐車されたが、この事にも翔太郎は気づかなかった。自分が二輪車扱いで駐車されている事を言いだせず、仕方なく、ハードボイルダーの姿から再び元の姿に戻り、レイジングハートは翔太郎に訊いた。 「大丈夫ですか?」 「ああ」 レイジングハートの気遣いは翔太郎には無用だった。彼が精神的に成熟しているからではなく、どんな言葉や気遣いも耳にかからなくなるほど未熟だったからである。 横顔は何かに苛立っているように見えた。あまり話しかけて気分の良い相手ではなさそうだと、はっきりわかる。しかし、放っておいていいものか、それもわからずただただ言いようのない気まずさを感じていた。 「心配するな」 その言葉が、却って心配を煽る。全く、心配させない気のない「心配するな」の言葉であった。 「──」 その様子を見て、ザルバは意識的に口を閉ざした。翔太郎に対する失望があり、翔太郎に感じた共感やちょっとした思い出を口の中に仕舞い込むと、ザルバは暫くただの指輪になる事にした。 翔太郎が抱えているのは人間らしい弱さではあるが、戦士としてはあってはならない弱さである。きっと魔戒騎士には絶対になれない男だ。 翔太郎、レイジングハート、ザルバ──相棒を失った三人であるが、彼らは亡霊のようになりながらも半ば習慣的に事務所のドアへ向かっていく翔太郎の後を追った。 まだ雨音は鳴りやまず、彼らを濡らし続けていた。雨は布で厳重に止血されている翔太郎の腕にも沁みた。 △ 丁度、午前4時ごろだろうか。 それぞれが落ち着いていたところに、左翔太郎は入って行った。 翔太郎は、ドアの向こうの芋洗い状態の事務所の様子に、どこか幻滅したような表情を見せた。フィリップや鳴海亜樹子はそこにはいない。賑やかよりも、もう少し空っぽの方が良い。ずぶぬれの翔太郎を迎えたのは、この戦いを終わらせるべく思索を巡らせている男女だ。──それが、残念に思えた。 眠りこけている者もいる。──いや、気を失っているのだろうか。 翔太郎も眠りたかった。 「翔太郎くん……」 入るや否や、誰もが驚愕した表情で翔太郎を見つめていた 。 隣にいるべき男がなく、そこにあるべき腕がなく、目は輝きを失い、雨に濡れたまま現れた翔太郎──その風貌は、つい数時間前まで笑い合っていた翔太郎とは別人だった。 気力そのものが抜け落ちているというか、まだ落ち着けないというか……誰もがその変貌を見抜いたのは言うまでもない。 気障な台詞ひとつ出てこず、歩く時のよろけた仕草も一目に格好悪い。 「よう……帰ったぜ……」 翔太郎は、強がるようにして言った。いつもなら、少しは軽い印象を与える工夫をするはずが、今日は全く無気力でそうした工夫さえ見せる様子がなかった。口から言葉を吐き出しただけで、意味を込めて伝えようとする言葉ではなかった。彼が歩けば、事務所の床は一瞬で水たまりを作る。自分の事務所だからどうでもいい、という感じだろう。 すぐにでも倒れてしまいそうな彼を、真後ろでレイジングハート・エクセリオンが支えた。思った以上に水を吸っている彼は、レイジングハートの腕にも重かった。 「……?」 レイジングハートの顔を見て、そこにいる誰もが不審げになった。 それが誰なのか、他の誰もが知らない。変身を解いた状態の彼女を見た者は誰もいなかったのだ。それに気づいて、慌ててレイジングハートは言う。 「そういえば、この姿では自己紹介をしていませんでしたね。私はレイジングハートです」 「あ、ああ……君が。こりゃあまた随分」 彼女はまだ、自分の姿をはっきりと鏡に映していなかった。鏡は事務所にいくらでもあるはずだ。後でどうにかしたい。 自分の姿を全く知らないままこんな自己紹介をするのも変だったが、それぞれ納得したようだった。 「……さて、翔太郎くん。これからチームを四つに分ける」 一也が口を開いている間に、つぼみが自分の座っていたソファをどいて、翔太郎に席を譲った。ソファが水を吸って、そこだけ少し濃く色を変えてしまう。 石堀がタオルを投げたが、翔太郎はそれを手に取らなかった。頭の上に不恰好に乗せられたタオルに触れる者は誰もない。だが、そのまま一也が続けた。 「F-5エリアに向かう花咲つぼみチーム、図書館に向かう桃園ラブチーム、クリスタルステーションに向かう涼村暁チーム、そして村エリアに留まる人間だ。……君は待機でいいか?」 翔太郎は、黙って首を縦に振った。 できるのならこの懐かしい事務所に留まりたいと思ったが、そうも行かないのが辛いところだ。辛うじて、そんな駄々をこねないほどには仮面ライダーの使命を抱いていた。 大人になった以上、どうしても出てくる癖だ。自分の我が儘を周囲には言えない。 「ああ、俺は待機でいい。……変身もできねえし、これじゃあ役に立たねえしな」 ただ、役立たずになってしまった自分を自嘲する言葉は自ずと吐き出された。 変身アイテム、相棒、腕を一片になくした翔太郎は、今後の戦闘で自分が役に立たない事を重々自覚し、それが周囲に迷惑をかける可能性まで見えているのだろう。 その反応は、一也の予想通りである。厳しい事を言うが、今の彼は周囲から見ても役立たずであった。だからこそ、「待機」という選択肢の中に最初から翔太郎を入れていたのだ。 「──ッ!」 奥で、杏子が奥歯を噛み、怒りの表情を見せたが、それを言葉にするのは誰もが控えた。こうも予想通りに動くほど底の浅い男だと、杏子は思っていなかっただろう。これまでの私淑の感情を裏切られたような、そんな気持ちだった。 勿論、そうして待機してくれていた方が都合の良い事は変わらない。しかし、怒りを抑えるのを必死にした。 電話越しに要件を伝えたあの時よりも、きっと様々な思い出を反芻した。あの時聞こえた喉から干からびたような声の主は、身も心も骨のようになっていた。それが怒りに繋がってくる。 そんな杏子の顔に気が付いたのは、ただ一人、蒼乃美希だけだった。 響良牙も、黙って翔太郎の顔を見て、舌打ちしたい衝動を抑え込んだ。 △ 翔太郎は、そのすぐ後にはバスルームにいた。 この鳴海探偵事務所には、普段フィリップが住んでいた。トイレやバスルームもちゃんと設置されており、一応翔太郎もその場所は知っていた。 全身ずぶぬれ状態だった翔太郎は、自分の先ほどの疲れを洗い流していた。 右腕の先は布で覆われているが、この先を見ればおそらくは断面があるのだろう。このまま血を出さないよう、右腕を避けて冷水でシャワーを浴びた。 頭から被る冷水は、彼の頭の中身まで冷やしてくれる事はなかった。 (くそ……) 自分の無力が地面に幾重も叩きつけられているようだ。 鳴海探偵事務所内には、ちゃんと衣服も残されてあったが、どれも「右腕がある」と仮定したうえでのものだ。 中にはフィリップの服もあった。もう誰かが着る事はない。──以前も、そういえばそんな感慨とともにフィリップの服を漁った気がする。 「……っ」 こうして頭から水を被ると、やはり涙は流れてしまう。 隠す事ができる場所。男が一人でいられる場所。そこに立つと、やはりしばらく我慢していた物が再び流れ出てしまう。 「フィリップ……!」 翔太郎の嘆きの声がバスルームに響く。 大丈夫だ、ここには誰もいないはずだ。 『……おい』 しかし、バスルームの外の脱衣所から、靄がかかった声が聞こえた。 『あんたはもうこれ以上、戦う必要はないと思うぜ。後はおれたちに任せろ』 聞こえるのは、響良牙の声だ。 彼は、トイレに向かっていたはずが、どうやら全然見当違いの場所に来てしまったらしい。 しかし、一応脱衣所になっている場所に来たので、これを機会とばかりに服をデストロン戦闘員スーツから元の服へ着替えていた真っ最中だった。 着替え終わった後で、翔太郎の嗚咽と嘆きが聞こえてきたのだ。 良牙も本心ではない。 どこか苛立ちはある。しかし、それでも彼は、腕がない彼が戦う辛さや、友人を喪った翔太郎の悲しみを理解し、何とか汲んでやるつもりだった。 「……」 『ただ、一人機嫌を損ねてる奴がいる。……そいつには気をつけな』 そう気障に言い残して、良牙はその脱衣所から消えていった。 少し恥ずかしいところを見せてしまった気持ちで、翔太郎はしばらく黙っていた。 良牙は、その後、事務所の外で、慌てて良牙を探しに行ったつぼみによって保護された。 △ 「さて、首輪は解除した。これで君ももっと自由に動けるよ」 沖一也が、レイジングハートに言った。彼は、鏡台の前でレイジングハートの首輪を解除したのだった。既に首輪解除はお手の物といった感じだろう。 しかし、レイジングハートは構わず、ずっと鏡台の方を見つめていた。 そこで、一也からはアクマロやノーザの話を聞いていた。いずれも、既に倒された事になっているらしい。 「ありがとう、ございます……」 初めて、はっきりと見た自分の顔立ちは、浮かない顔という他なかった。 目の前にある鏡台は、光を吸収してレイジングハート・エクセリオンの今の顔を見せてくれている。月下の湖で見た自分の姿よりも数段、はっきりとその憂いの瞳に色を灯していた。 生まれたての体であるゆえか、皺や浮腫みもなく、誰かに傷つけられる事もまだない可憐な姿をしているのだった。 鏡に映った自分の姿に、レイジングハートは特別歓喜するでもなく、「こういうものか」と受け入れていた。 上手に喜ぶ事もできず、安易に人前で喜べる状況でもなかった。 「うーん……」 真横で唸るのは高町ヴィヴィオである。脳内の混乱が拭い去れないようだ。額の冷や汗と苦笑いは何か言いたげだが、何も言えないから唸り声だけが漏れたのだ。 こうしてレイジングハートが非人から人間になったというのは、喜ばしい話なのか、否なのか。当人でさえ理解していないところに周囲がフォローできるわけもない。 彼女の唸り声が耳をすり抜けた後で、レイジングハートはおもむろに立ち上がった。 そして、そのまま彼女の瞳が見たのは、涼邑零であった。 「俺に用かい」 「ええ」 「バラゴの事だな」 「その通りです。私の前では、龍崎駆音という名前を使っていましたが」 当然ながら、零に対する用事はバラゴに関わる話である。 先ほどから魔戒騎士とレイジングハートの間で巻き起こっている認識の祖語に回答を求めたい所だったのだ。 いや、あくまで、もっと中立な観点から彼を知りたいだけだったのかもしれない。 「奴は俺の父を、妹を殺し、俺の家族を壊し……それから鋼牙の父親も殺した魔戒騎士だ。俺は、それ以上は知らない」 「……しかし、駆音は確かに私を庇って死にました。悪い人とは思えません」 レイジングハートの言葉に、零は眉を顰めた。まるで別人の話をしているような違和感を覚えたのだ。仇を擁護される事に腹が立たないのも、その違和感がストッパー代わりになっていたからであり、レイジングハートのバラゴ像がもう少しでも零の知るバラゴに近かったら、零は機嫌を損ねただろう。 当然ながら、零はバラゴのまっとうな人間の部分を一切知らない。何故闇に堕ちたのか、その経緯も何も知らない。だからこそ、零の中でのバラゴのイメージは邪悪な鎧の怪物と同義な物に成り果てていた。仇、以上の情報はない。 「でも、同じように、誰かを庇って死んだ人がこの場にいます。それは、冴島鋼牙です」 零が恨みの瞳でレイジングハートを凝視したのは、その言葉を聞いた時だった。零の表情には気づいたが、彼女は続ける。 「私の推測ですが、それが魔戒騎士の宿命なのでしょう。たとえ、あなたの言うように闇に堕ちたとしても、守るべき物がきっと彼にもあった」 「……俺の前でバラゴを擁護するな」 零を苛立たせる事になる決定打といえば、今の一言であった。 魔戒騎士というキーワードと同時に、バラゴと鋼牙を結び付けた今の一言が、零にとっては不愉快だったのだろう。 「──わかりました。いずれにせよ、本人はもういません。あなたにとって仇で、私にとって恩人である。しかし、私とあなたは、今は仲間である。それ以上の答えは出ないかもしれません」 これ以上バラゴの正体を掴もうとすればするほどに、きっと二人の間に生まれる溝は巨大になるだろう。その果てにバラゴがいかなる人物なのか浮かび上がる事もない。 このまま水を掛け合っても仕方のない話だと、早々に自己解釈を諦めた。 「ああ、俺はそれでいい。あんたがあいつをどう思おうが、俺には関係ないしな。それでも俺は憎み続ける。きっと」 「……」 「それでいいだろ。俺はバラゴは嫌いだが、あんたは好きだ。綺麗だぜ、あんた」 そう茶化すと、零は薄く笑ってそっぽを向いた。 これ以上の対話を拒否しているのをはっきりと示していた。 △ 時系列順で読む Back あなたが遺してくれたものNext 三番目のN/孤門、目覚める 投下順で読む Back あなたが遺してくれたものNext 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 孤門一輝 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 高町ヴィヴィオ Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 沖一也 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 蒼乃美希 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 左翔太郎 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 佐倉杏子 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 花咲つぼみ Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 響良牙 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 桃園ラブ Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 石堀光彦 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 涼村暁 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 涼邑零 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) レイジングハート・エクセリオン Next 三番目のN/孤門、目覚める
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1.「そういえばさ、ちょっと聞いていい?」 「なんですか?」 「修の旧姓ってなに?」 「旧姓?」 「うん。修、言ってだじゃん。結婚する時は、今の叔母さんの苗字じゃなくって、両親の旧姓に変えるって。」 「まぁ、そうですけど。」 「べっ別に、将来のことを考えてとかじゃないんだからね。私が興味あるだけなんだからね。」 「ははっ。」 「・・・。なに笑ってるのよ。」 「いえ。そうですね。俺の旧姓は・・・。」 「うん。うん。」 「『如月』って言います。」 2.「まだ、つらい?」 「いきなりなんだよ。」 「昔のこと、思い出す?」 「まぁ、な。それは五月も一緒だろう?」 「そうだけど・・・ね。」 「そんなつらそうな顔をするな。・・・五月には笑顔が一番似合うよ。」 「・・・、クサッ。なにその科白。」 「おまっ・・・。」 「でも、うん。嬉しい!」 3.「光ぅ〜!」 「勇気っ!こっちこっち!」 「ごめん。僕が遅れたせいで待たせちゃったね。」 「いいよいいよ。で、どうした?また、憧れのオジさんの話?」 「いや、その、それは・・・、別に・・・。」 「うろたえてる、うろたえてる。」 「ほっといてよ・・・。」 「勇気、可愛い〜。なんか、あれだね。」 「う〜。・・・何よ?」 「やっぱり、勇気の告白、OKしておけば良かったかなぁ?」 「・・・今更そういうこと言う?」 4.ずっと悩んでいた。どうして私は子供たちにつらくあたってしまったのか。 言い訳はあったし、それを言えば同情してもらえただろう。 私のせいで、息子にもつらい思いをさせてしまった。 自分と同じ道を歩ませるなんて・・・。 私は母親失格だ。 「純一・・・。真弓・・・。ごめんなさい。」 5.「オジさん!」 「また、お前か。」 「へっへ〜。」 「・・・なに笑ってやがる。」 「だって、最近僕のこと『坊主』って呼ばなくなった。」 「・・・。坊主、別に深い意味は無いぞ。」 「う〜。わざわざ言い直すなよ!」 「ふっ。少なくとも自分を『僕』って言ってるうちはレディー扱いはできないな。」 「そうですか!ふんっ!」 6.我が『如月探索・・・』ではなく。 『如月探偵事務所』は金はないが、元気はある。 坊主がココに居座ってすでに二年近くが経過していた。 このまま、のんびり捜しモノをする生活っていうのも悪くない。 そんなことを最近思い始めていた。昔の俺からは想像もつかない。 なんだか、気恥ずかしくなって、最近はめっきり本数が減ったタバコに火をつけた。 7.「さてと。」 「ん?どっか行くの?」 「あぁ。今日はちょっと大事な用があるんでね。」 「ふ〜ん。・・・なんか、去年もこれぐらいの時期にドッカ行ってたよね・・・。」 「良く覚えているな。ちなみに、一昨年も行ってるぞ。」 「・・・。そんな昔のことは覚えてないよ。」 「なに照れてんだ?まあ、いい。帰りは遅くなる。今日は帰れ。」 「ちょっと!どこ行くの?」 騒ぐ坊主の背を押して事務所から追い出す。 上着を羽織ると、ドアの外で待っている坊主を家まで送った。 今日ばかりは邪魔されたくは無い。悪く思うなよ。 8.一つの墓石の前でタバコに火をつける。 「今年も来たぞ。」 「・・・。」 「いい加減、来るなって言ってるのか?そう連れないことを言うなよ。」 「・・・。」 「でもな、最近はこれでも少しは楽しく過ごしてるんだぜ。」 「・・・。」 「それでも・・・。」 「・・・。」 「まだ、前には進めないんだ。俺は弱いままだな。」 久々に苦く感じたタバコは、何かが始まる予感をさせた。 「よっ、『捜し屋』、久々だな。」 そう懐かしい呼び名で呼ばれた。安田康弘。職業警察官。 紫煙は俺の顔に容赦なく流れてきた。 俺が顔をしかめたのはそれが理由だけではないが。 9.日常が崩れるのはあっけない。それはまるで、トランプで作ったタワーのようで。 作るのにあんなに時間が掛かったのに、崩れるのはあっという間だ。 それを何度も何度も味わってきた。 そして、今日。 この再会は何を意味するのか? もうこれ以上、なにも崩したくない。 10.「安田・・・さん。」 「『捜し屋』、元気にしていたか?」 「その呼び方は辞めてください。もう、昔の話です。」 「昔ね・・・。ちょっと変わったか、お前?」 「・・・。別に。俺は何も変わっていないですよ。」 「そうだよな。そう来なくっちゃな。だって、お前は、まだ、ケリつけてないもんな。」 「・・・回りくどいですね。俺も色々忙しいんですよ。」 「女子高生の相手をしながら、猫を捜すのが忙しいのか?」 「・・・。」 「そう怖い顔をするな。『捜し屋』、お前の力が必要だ。」 「今更・・・。」 「それにお前にも悪い話じゃないはずだ。」 「どういう意味ですか?」 「12年前からお前がずっと追っていた奴。奴がまた出たぞ。手伝ってくれ。」 11.行きつけのバーで少しアルコールを摂取すると、事務所に帰る。 思いの他、早く帰った。 時間を再度確認し、失礼な時間でないことを確認すると、坊主の自宅に電話をかける。 この2年ですっかり顔見知りになった母親に、坊主を呼び出してもらう。 心無しか、嬉しそうな声を出す坊主に、暫く事務所には来るな、と伝える。 なにやら、電話の向こうで文句を言っているようだが、最後まで聞かずに電話を切った。 事務所から必要最低限の生活用品をカバンに詰める。 ふと台所のコーヒーメイカーが目に入る。 俺には眩しすぎる2年間だったのかな? ドアを閉め、鍵をかける。 13.墓地近くの古臭い喫茶店に入り込む。薄暗くタバコ臭い。 それだけで、なんだか昔の自分に戻ってしまったようだ。 「これからはココで?」 「ああ。一応携帯の番号も教えておく。落ち合う時はココだ。」 「分かりました。」 「さて、早速仕事の話だ。おっと、お前には金は発生しないからな。仕事ではないか。」 「別に。そんなことはどうでも良いです。」 「ふっ、ようやく昔のお前に戻ってきたな。」 「・・・。早く始めましょう。」 14.「さて、とりあえず、おさらいから始めようか?」 くしゃくしゃになった箱から同じくくしゃくしゃになったタバコを取り出した。 俺にしてみれば、あんなタバコ美味くない。 運ばれてきたコーヒーを口に運び、まずいと思う。 そして、それを思い出さないように、わざと旨いと思い込むことにした。 15.「やってることは連続轢き逃げ。何故連続だと“俺ら”が判断したかというと・・・。」 「同じ車を使っているから。」 「そうだ。全部盗難車にも関わらず。つまりわざわざ同じ車種の車を盗んでるってことだ。」 「それに加えて・・・。」 「・・・。お前もマスコミの虜か?それはこじつけだ。」 「俺は、そう思いません。」 「女体化間際の男が近くに居る女ばかりを狙っている。」 「はい。」 「それこそ、周りくどい言い方だ。マスコミは喜びそうな見出しだがな。奴はただ、14〜15歳の女を狙っているだけだ。」 「見解の相違です。そして、その違いは大きい。」 「兄弟、友達、恋人。14,5歳の女のそばには14,5歳の男が居る。それだけだ。」 「・・・。」 「未だ被害者面か?やめておけ。」 「・・・俺がそれを辞めれば、手伝う理由はなくなりますよ。」 16.シングルのベッドから起き上がる。部屋は狭く薄暗い。 灰皿にたまった吸殻をゴミ箱に捨てると、また吸殻を作るために火をつけた。 頭はまだ回らず大量に買い込んだ“旨い”インスタントコーヒーを炒れた。 久々にあの時の夢を見た。 12年前のあの光景。 「和美・・・。」 17.如月和美。 出会ったのは中学一年の夏だった。 英語の授業について行けず、無理矢理参加させられた補習の教室だったかな? まだ、小学生気分が抜けない俺に、眼鏡の奥から鋭い視線を浴びせてた。 偶然帰り道が同じだった俺と和美はそれから“偶然”時間が合った時に一緒に帰るようになったのだ。 18.付き合ってるなんて言えたのか?恋人?愛しい人? どれも、しっくり来ない。 二人の関係は。 そう、それはただ、如月和美と、左近肇(ハジメ)の関係だったのだ。 今はもう持てないであろう、そんな関係だったのだ。 19.なんとかスーツに着替えると、昨日の話を元に動きだす。 事件が起こったのは一昨日の深夜。 後、少しすれば、マスコミが騒ぎ出す。その前に行動に移す必要があった。 いつか通った道をたどり、目的地にたどり着いた。 20.「あら、探偵さん・・・。」 「おはようございます。奥さん。」 「ええ、おはようございます・・・。」 「去年は大変申し訳ございませんでした。お力になれず・・・。」 「・・・いえ。お気になさらずに・・・。で、今日はどのようなご用件で?」 「一昨日の件で、真弓ちゃんに話を聞きたくて、参りました。」 「一昨日の・・・。」 「はい。つらいことだとは思いますが・・・。」 「お仕事ですか?」 「いえ、個人的なものです。」 「・・・。分かりました。どうぞ。今二階の自室に居りますので。」 21.「左近さん!」 「よぅ。久々。」 「今、何してるんですか?勇気、心配してましたよ。」 「まぁ、色々。で、今日は真弓ちゃんか。」 「はい。良く分かりましたね。私です。真弓です。」 「俺を苗字で呼ぶ女子高生は真弓ちゃんだけだよ。」 「ふふっ。」 「で、本題。一昨日のはどっちよ?」 「それも、私です・・・。」 22.あの後、純一と真弓は一週間程度で入れ替わっているらしい。 さすがに友達の目はごまかせなかったみたいだが、 逆に協力してもらいなんとか学校生活を送っているとのこと。 ベストではないがベター。 儚いことにはなんら変わりは無いが。 23.猛烈にタバコが吸いたかった。ぐっと我慢すると喉が痛くなった。 「つらいとは思うが聞かせてくれ。一昨日、何があったかを。」 自分がひどく真剣な目をしていたのだろう。 真弓ちゃんは少しひるんだ感じで、はい、と言って続けてくれた。 24.ホテルに帰り着くと、見計らったかのように携帯が鳴る。 安田からの電話だ。 収穫はなしだと、安田からの電話を切ると、コーヒーを飲みつつタバコに火をつける。 電気をつけていない部屋なのに、煙ははっきりと分かるぐらい、白かった。 部活の帰り道、暗くなり始めた細い路地で無灯火の車が突っ込んできた。 一緒に帰宅していた友達の男子高校生に突き飛ばされて難を去ったとのこと。 変わりにソイツは足を折り入院中だとか。 さっきテレビをつければ、俺が午前中、足を運んだ風景が映し出されていた。 明日は病院に行ってみるか。 25.病室には何処かで見たことがある女子高生がリンゴを剥いていた。 その目をみて思いだした。純一に初めて会ったときに話を聞かせてくれた女子高生だった。 佐々木康太と名乗った男子高校生に話を聞きたいというと、 横に居る女子高生を見て、五月も一緒で良いなら、と肯定の返事をもらう。 26.「最初はなんでもない。そう日常の風景でした。」 「無灯火でしたけど、稀にはありますし。」 「でも、車種が分かるぐらいに車が近づいて来た時に、ちょっと昔を思い出して。」 「ああ、これはマズイって思って。」 「そう、またかって。」 「気付いたら相良さんを突き飛ばしてました。」 言葉に違和感を感じる。車種?昔?マズイ?また? 遠くを見だした俺から目線をはずした男子高校生は慌てたように言葉を発した。 「五月・・・?大丈夫か!?」 27.つられて女子高生を見た俺は不覚にもギョッとしてしまった。 女子高生が顔面蒼白になっていたからだ。 「康ちゃん・・・。それって・・・。」 「五月・・・?」 「その車の車種って・・・なに?」 「えっ?」 「なに!?」 「えっと・・・。なんて言ったかな・・・。あの、CMでよくやってるコンパクトカー・・・。」 「一緒だ・・・。一緒だよ!康ちゃん!」 そういうと女子高生は泣き崩れた。 28.突然鳴り出した携帯電話。電源を切り忘れたか。 取り乱す女子高生を前に却って居ない方が良いだろうと病院を出る。 駅前の喫煙所で着信を確認すると安田からだった。 折り返しの電話をする気にならず、タバコを吸っていると、 似合わない大きなジッポーを使っている女子大生らしき娘が隣に座った。 ひどくおいしそうにタバコを吸うその娘を見ていると、自分のタバコもすごく旨く感じた。 そんな折、後ろから急に声をかけられた。 「左近さ・・・ん?」 「お前は・・・。」 その男を見て女子大生が、慌てたようにタバコをもみ消していたが、今はどうでも良い。 「『如月』修・・・。」 29.女子大生に急用が出来たと、修が告げている。 少し怒った顔をしたが、修の顔をみると素直に分かったと応じていた。 「良い娘をみつけたな。修。」 「・・・そうですね。どうしましょうか?」 「近くに行きつけの店がある。そこで。」 「分かりました。」 31.「おい、『捜し屋』。ちゃんと電話に出ろ。」 「・・・。頻繁にかけすぎですよ。俺だって出れない時もあります。」 「なに、お前が抜け駆けしないか心配でね。」 「しませんよ。そんなことは。俺は名誉がほしいわけじゃない。」 「であれば良いが。で、どうだ?状況は?」 「そっちこそ、どうなんですか?」 「お前さ、知ってるだろう?“俺ら”の手口を。」 「知ってますよ。・・・嫌と言うほど。」 「なら、良い。で?」 「芳しくありません。」 「本当か?」 「はい。」 「そうか・・・。何かあればすぐに連絡をよこせ。」 「分かりました。」 やけに潔く引き下がったな。今の俺にはそちらの方がありがたいが。 32.電話を切ると、事務所からもってきたファイルに目を通す。 10年前、10月2日 『如月 和美』 2年前、7月20日 『桜井 朋子』 1年前、3月3日 『相原 淳』 今年、10月1日 『相良 真弓(未遂)』 当然、この他にも被害者はいるが、この町に事件の関係者がこんなにいるなんて・・・。 これは何かの偶然か? いや、違う。偶然が集まればそれは必然になる。 俺はタバコに火をつけると、この4つの事件を最初から整理し始めた。 33.何本目か分からなくなったタバコをもみ消したところでふと気が付いた。 今年の事件だけおかしい。俺の考えがあっていれば。 相良純一の女体化をヤツが知らなかったとしても、すでに16の誕生日を迎えているからだ。 もし、佐々木康太を彼氏と勘違いしていても、こちらも16の誕生日を迎えている。 俺の考え方が間違っていたのか? 34.翌日。悩んでいてもしょうがないと、相良家に向かう。 チャイムを鳴らすと、奥さんが出てきた。 相良薫(カオル)。 もう二度と会うまいと思っていたのに、ココ数日間で2度目の顔合わせとなった。 36.「私の考えでは、真弓ちゃんに狙われる理由は無かった。奥さん、何か心当たりはありませんか?」 俺の犯人像と、犯人の目的を伝えた後、そう聞いてみた。 大した情報が入るとは思っていないが、藁にもすがる気持ちだった。 「女体化前の・・・。」 「はい。あくまで私の想像ですが。」 「・・・。昔、私には双子の妹が居ました。」 「・・・、昔?」 「はい。22年前。美鈴は殺されました。考えられるとしたらこれぐらいです。」 「・・・。」 「私はそれがショックで。ぽっかりと何かをなくしてしまったようで。」 「そんなことが・・・。」 「気が付いた時には“女”になっていました。その時から2年後の話です。」 「奥さんも“元男”・・・。」 「その後は本当に荒れました。そんな私を唯一支えてくれたのが、最初の主人でした。」 「・・・。」 「でも、駄目でした。私が妊娠して、双子を出産した時から。」 「・・・。」 「純一と真弓にはひどいことをしてしまった。本当は今からでも2人と一緒に暮らしたい。」 「それは・・・。」 「でも、二人が決めたことなら。二人がそれが幸せなら。私は何も言わないことにしました。」 「・・・。最後に、一つだけ。」 「はい。」 「妹さんを殺した犯人。捕まってますか?」 「いえ、捕まっていません。容疑者は出ました。でも、証拠不十分で起訴できなかった。」 「・・・。」 「同級生です。父親が警察官だったから、それも多少関係があったのかもしれません。」 「名前、覚えてますよね。教えてください。」 「・・・。そいつの名前は・・・。」 37.10月の終わり。だいぶ寒くなってきて、夜中にずっと張り込んでいると、すごく寒い。 朝方になって今日はもう来ないだろうと、尿意を感じ、久々に事務所に戻って用を足す。 帰り際に、ドアのノブに紙袋がかかっているのに気が付いた。 見慣れた字で『オジさんへ』とかかれている。中には携帯音楽プレイヤーが入っていた。 それを再生すると懐かしい声が聞こえてきた 38.『元気にしていますか?いつ帰ってきますか?』 『オジさんは、ぼ・・・私に会いたくないといいますが、私はオジさんに会いたいので、せめて声だけでも送ってみます。』 『早く事件を終わらせて、帰ってきてくださいね。竹下勇気より。』 最近の機械はこんなこともできるのかと、感心すると、火をつけようとしたタバコをしまい、 ちょっとだけやる気が出てホテルに戻る。 その帰り際に、木島修と、佐々木康太に電話をかける。 「ちょっと、手伝って欲しいんだが。」 39.そこから一週間。結果は出ていない。今日も駄目かなと、佐々木康太に電話して、今日は帰るように伝える。 続いて、修にも帰るように伝えようと携帯をいじっていると、逆に修から電話が掛かってきた。 「左近さん、今すぐ来てください。来ました、怪しいのが。」 場所だけ聞くと、全力で走り出した。 40.伝えられた場所に駆けつけると、電柱の影で様子をうかがっている修を見つけた。 お前はもう帰れと、修に伝えると、俺はポケットに手を突っ込んで電柱から出た。 コンパクトカーをいじっている怪しい人影に近づく。 修は俺のその堂々とした態度に戸惑っていたようだが、素直に俺の言葉に従い消えていった。 「安田さん。何やってるんですか?」 41.俺に呼びかけられた人物。安田康弘は緩慢に振り返ってフッと笑った。 その態度には余裕がにじみ出ていて、俺はやっぱり警察ってのはいけ好かない人種だと再認識した。 42.「『捜し屋』、こんな時間に何をしている?」 「いや、八方塞がりでして。しょうがないから、町中にあるコンパクトカーを全部張ってたんでよ。犯人が来るから。」 「・・・。何故だ?ヤツがまたこの町で事件を起こすなんて確証はないだろう?」 「確かにね。ありません。でも、確立は高いと思いますよ。」 「何故?」 「だって、今回の失敗してますから。完ぺき主義の犯人がこのままあきらめるとは思っていません。」 「そうか。まあ、“俺ら”もそう思う。だからこそ、俺もこうして張っていたんだが。」 「そうですか。・・・。でも、それって嘘ですよね?」 43.「・・・何を言っている?」 「22年前。相良美鈴を殺したのって安田さんですよね?」 「・・・。」 「よく捕まりませんでしたね。コネっていうか、警察の力ってすごいですね。」 「知らんな、そんなことは。」 「それも嘘です。だから、相良真弓を狙ったんでしょう?少々ポリシーに外れても。相良薫をおびき出したかったとか?」 「どういう意味だ?」 「他の事件の被害者もココに集まっていたのは予想外だったでしょ?でも、俺はおかげで多くの人の協力を得れたのでよかったです。」 44.「『捜し屋』、なかなか面白いことを言う。そして、お前はやっぱり優秀だったよ。」 「なぜ俺に声をかけたんですか?」 「お前はほっといても首を突っ込んでくるだろうからな。だったら最初から縄をつけておいた方が都合が良かった。」 「道理で。いつも良いタイミングで電話をかけてくるはずだ。」 「でもな、お前の推理、少し違う。」 くしゃくしゃのタバコに火をつけると、旨そうに吸い始めた。 俺も負けじと左手だけで、器用に火をつけた。 45.「22年前。相良美鈴をさっ、犯そうとしたわけよ。」 「そしたらよ、あのヤロウすげー抵抗してきたわけよ。俺はカッとしたね。俺に逆らうのかって。」 「気がついたらさっ、死んでやんの。なさけねぇ。ま、親父の力で何とか逃げられたけどな。」 「でよ、その後が傑作なんだよ。相良美鈴には双子の兄がいたんだけどよ、精神ぶっ壊れてるの。」 「シスコンだっけか?あれは笑った。しかもさ、女になってやんの。15,6で童貞って笑わせるわ。」 「その後も俺は気になって、兄、薫の人生を覗き見させてもらった。笑える。幸せつかんでもすぐ手放してるの。」 「薫が双子産んだ時なんかサイコーだった。幼児虐待とかアホかと。」 「でよ、薫が女体化して俺は思ったわけよ。他のヤツも女体化させて、人生狂わせたら面白いんじゃないかって。」 下品に笑う口にくわえられたタバコ。その口から出る紫煙。 そのどちらも可愛そうになって、同情した。 46.「やっぱさ、結構な確立で女体化してさ、不幸になっていくの。それが楽しくって楽しくって。」 「おまえもよ、女にはならなかったけど、良かったぜ。」 「俺が殺してからお前の誕生日までの2ヶ月とかまじウケタ。もう12年も経つのにずっと引きづってるとかよ。」 「でもさっ、中にはよ、女にもならず、しかものうのうと次の幸せつかもうとしてるヤツとかも居るわけよ。」 「ひでーな、おい。お前のせいで死んでるのによ。」 「この町に集まったのは偶然?そうだろうよ。でも、俺がココに来たのは偶然じゃないぜ。」 「あいつらにもう一つ不幸を与えてやろうと思ってよ。」 遠くから複数人の足音が聞こえてきた。もう十分かな。 47.ココです、と修の声。 その後ろには制服警官が二人いた。 二人は安田を目にとめると、少し驚いたように話し掛けた。 「安田刑事。何をされているのですか?」 「なに、ここで車をいじっている怪しい人影を見つけたので、ちょっと話を聞いているところだ。」 チラッと俺のことを見ながらそう応えた。 なに、言ってやがるそれはお前だ、と色めき立つ修を左手で制する。 48.「ちょっと、署で話を聞かせてもらおうか。」 そう言って近づいてくる警察官。 俺は修を制した左手を挙げ、ポケットにずっと突っ込んでいた右手も挙げた。無抵抗をあらわすバンザイのポーズ。 その右手には携帯音楽プレイヤー。 右手だけで、器用に再生して見せた。 49.『22年前。相良美鈴をさっ、犯そうとしたわけよ。』 何度も確認したから、大丈夫だという確信はあったが、やっぱり本番までは気が気でなかった。 音声は十分だった。最近の技術の進歩はすごいなと思う。 50.慌てて飛び掛ってくる安田を前蹴り一発で追い返す。 その間もずっと続く“自白”に二人の警察官は唖然としているようだ。 これで全部終わったかな。今度は両手で丁寧にタバコに火をつけた。 51.もうだいぶ遅い時間。最近、寝てる間にオジさんから連絡が来る気がして、なかなか寝れなかった。 そんな私に光は付き合ってくれる。優しい娘だ。さすが、“僕”が惚れただけのことはある。 家の安いコーヒーメイカーで淹れたコーヒーを口に運ぶと、すごく美味しかった。 今までで、一番の出来だ。 「今度ね、亮ちゃんと買物行くんだ。」 「仲直りできて良かったね。」 「別に喧嘩していたわけじゃないって。それにちょっともめてたのはずっと昔の話だよ。って、勇気どうしたの?」 「ううん。なんかさっ、いいことがありそうな気がして。」 「?なんで?」 52.久々の事務所。机にふんぞり返るとタバコに火をつける。 やっぱりココで吸うのが一番旨い。 しばらく、紫煙を見つめていると、階段を登る軽い音が聞こえてきた。 最初にかける言葉は決めていた。 少々キザかなとも思ったが、ハードボイルドはそれぐらいで丁度良い。 『ようこそ、左近探偵事務所へ、お嬢さん。』 おしまい。
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12月7日馬渡議員事務所訪問のまとめ 90 :宛先うけ人 ◆ab1A8C50so :2008/12/07(日) 11 18 21 ID WHsHcFMW 皆様、昨晩は失礼しました。 だいぶん荒れていたみたいですね。。 いずれにせよ、打ち合わせは必要です。 私も自動保守さんとメールのやり取りのみですが、 「新国籍法の改正」の為には、少しで多くの協力者が必要です。 本日、顔合わせと今後の方向性の相談会をしたいと思いますので 時間に余裕のある方、奮ってご参加ください。 ★★★★★★★中部方面ご相談会★★★★★★★ 幹事仕切 宛先うけ人 ◆ab1A8C50soにお願いいたします。 日 時 2008年12月7日 午後2:00より 集合場所 ロイヤルホスト・八事店 内 容 ・今後の活動について話し合う会議。 ・請願書オフの方向確定。 参加方法 メールしてください。 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ 注意: 46 52のライブドアメール、携帯で受けれませんので yamaha_yonex@yahoo.co.jp までお願いします。 252 名前:宛先うけ人 ◆ab1A8C50so :2008/12/07(日) 21 22 50 ID wQeODM7C 名古屋相談会オフに参加いただいた皆様、おつかれさまでした。 3名で馬渡事務所におじゃまさせていただき、議員秘書の方と、有意義な情報交換ができました。 以下に今後の動きをみすえた意見交換会の要点をお知らせいたします。 ○現在の請願書案については、法が成立した以上、内容について再検討が必要である事。 また現在、省令、通達等が出揃わないので、年内に検討を終える事が実質無理である事。 ○国会法に基づく請願書フォームの再検討と完成決定するオフ会場として、馬渡事務所の提供の 申し出をいただきました。 1、年明け早々にオフ会を馬渡議員事務所にて開催いたします。今後、先方さまのご予定も考慮し、 スレッド内にて、建設的なご意見をいただけますように皆様引き続きおねがいいたします。 2、秘書氏より馬渡事務所限定連絡窓口として、本日参加者のうち、幹事をつとめさせていただきました 私宛先うけ人が連絡役を勤めさせていただくことになりました。 ※※今後のまわたり議員事務所オフは私が責任をもって開催させていただきます。 ※追伸 改正国籍法はまだ、未知の法案でもあり、来年以降、実際の運用による問題を掘り出し、 DNA鑑定、重国籍の問題を主軸に、戦略的に審議に挑んでいかれるとの事務所の決意を聞き、 熱いものがこみ上げてまいりました。 現在の状況を相撲でたとえるならば、今回、土俵際まで押し込まれた我々ではありますが、 国技相撲には「うっちゃり」という極意がございます。 どうかみなさま、大相撲の名一番と位置付け、小兵な我々ではありますが、うっちゃりを決めて、 再改正案が成立いたしますように、ご参戦いただきますよう、 日本国民の一人としてお願い申し上げます。 291 :エージェント・774:2008/12/08(月) 00 37 03 ID WcG2BOGJ 一応、俺からもオフレポ出しておきます 12月7日のオフ@馬渡議員事務所andファミレス 12月7日に、2ちゃんねる有志の二人の方と私でオフ会を開きました 場所は名古屋の馬渡議員事務所で、その後ファミレスに移動しいろいろと話をしました。 馬渡議員事務所への訪問に遅刻したので、途中からの参加となりましたが、名古屋の事務所の秘書さんと会談を行いました。 先日請願書の件で東京の秘書の方にお世話になったことの感謝の意を伝え、その後今後の活動についての話になりました。 現在、議員さんの間でも、情報がかなり錯綜しており、さらに可決されてしまったことから、今後の活動は今までの急先鋒ではなく、 じっくり練っていくべきであるという話になりました。 また、2ちゃんねる有志からの大量のFAXの送信についてですが、今回のFAX大量送信事件は刑事事件に発展する恐れもあり、 今後は自己責任で行うほうがいいとのことでした。これについては、私からも、無差別に大量のFAXを送りつける行為はなるべく やめてくださるようお願いします。FAXを送信するときは、地元や他の人が送っていないであろう送信先に、テンプレ通りではなく 内容は自分で作って、名前と住所を入れて送ってください。お願いします。 現在1月末までに請願書をまとめるという案は、その時期までにはまだ請願書の内容が固まらないのと、改正国籍法が 運用されるのが1月からで、わずか一ヶ月で請願書締切となると有効な請願が行えないということでした。よって、今までの予定は 白紙に戻します。半年後を期限とした、新たな予定表を作成していくつもりです。 スレッドで議論されていました請願書については、まだまだ議論の余地があり、さらに議員さんからの情報や法務省などからの 情報を盛り込むという点で、実際の運用状況を見て作成しなおした方がいいという指摘を受けましたので、そのように修正していこうと 思っています。 以上オフレポです。 ------------ 合計: - 今日: - 昨日: -